3話 走り出す ページ5
Aが歓声を上げる中、輝と翔は見事なコンビネーションを発揮し、何とか反撃しようとする男たちを避けながら伸ばしていく。
表情も心なしか二人とも楽しそうにしている。
そんなことを五分間続けていると、ナンパ男たちは全員地面に座り込み、ぐったりとして動かなくなった。
「なんだよ。体力ねーなあ」
「オレたちはまだまだ動き足りないぐらいだぜ？」
双子はそんなナンパ男たちを呆れたような表情で見た。
「捕まえられなくて当然よ。翔は小さい頃からバスケやってたし輝のドリブルはそんな翔と私とA直伝だもん」
『二人ともお疲れ。カッコよかったよ』
そんな二人にちひろとAが近寄り声をかけた。
二人の言葉に翔は嬉しそうに笑い、輝はボールをくるくると指先で回しながら自慢げにする。
「やべ、もうこんな時間だ」
「うわ、こりゃ猛ダッシュしねーと間に合わねーな。……A！」
ふと周りに中学の制服を着ている人が全く見当たらないことに気が付くと、翔は携帯を取り出し、時間を確認した。
横から携帯をのぞき込んだ輝は、肩にかけていたカバンを少しずらし、Aを呼ぶ。
不思議そうに小首をかしげながら駆け寄ってくるAにニッと悪戯っ子のように幼い笑顔を見せた。
そして、何も言わずにヒョイッとAをおぶる。
『きゃあっ！？』
「え…翔！？」
隣では翔も輝と同じことをしてちひろをおぶっていた。
「バスケのうまさじゃオマエらにはかなわねーけど、走るだけならオレたちの方が速いからな」
「A、フルスピードで行くからしっかりつかまってろよ」
輝はAに笑顔を見せてから翔と顔を見合わせて、
「「発進！！」」
楽しそうに走り出した。
二人とも人を乗せているとは思えないスピードで走る。
『輝……』
Aは頬を桃色に染め、少しだけ俯いた。
ドキン、ドキンと大きく脈打つ心臓に恥ずかしく思いながらも、輝の肩にのせているだけだった手に力を込める。
「A、もっとしっかりつかまれ」
『え……』
「ほら、そんなんじゃ振り落としちまうかもしれねーだろ？」
走る速度を変えないまま、輝はAを見上げてそういった。
Aは顔全体を真っ赤に染め上げ、ふっと微笑みぎゅっと輝の首に腕をまきつけ、しっかりと抱きついた。
輝は耳まで真っ赤にして、輝の肩に顔を埋めてしまったAに少し頬を染めながら満足げに笑うと、走る速度を上げた。
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琴音 - めちゃくちゃ、キュンキュンしました！ありがとうございました🙇 (2022年4月12日 23時) (
レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 私も鈴木君！好きなので嬉しいいです！！ (2020年4月15日 3時) (レス) id: 623759395b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきっち
| 作成日時：2016年11月23日 18時
