37話 演劇 ページ40
「演劇部の佐藤って知ってるだろ。
アイツ、星野とAを狙ってる」
「ッ！？」
演劇部の佐藤＿＿。
以前、Aとちひろが話していた人物で輝も名前ぐらいは聞いたことがあった。
「気を付けろよ。Aのことが好きならしっかり見張っとけ」
翔は輝が頷いたのを確認して幼馴染みたちの元へ駆け出した。
「ちょっと翔ッ！
聞いてんの！？」
ちひろの声で戻ってきた翔は自分がちひろに締め上げられているのに気づき、彼女の腕に手を当てる。
「はなせ、コラッ」
『翔、正直に言ったらどお？』
「ん？」
((なんだ？この人だかり))
双子が部活に来ると、ステージの方に人がたくさん集まっていて、その中にいた同じ部活の先輩に翔がたずねる。
「つーか、先輩たち、練習サボって何やってんスか？」
翔に尋ねられた先輩がステージの方を指差す。
「今、演劇部が部内オーディションしてんだよ。
衣装まで着て、かなり本格的。
ロミオとジュリエットを近代ヨーロッパ風にアレンジしてやるらしーせ」
「創立祭の時のアリス役のAちゃんも出ててさ、みんな興味津々でほかの部のヤツまで見に来てるんだ」
ステージ脇から出てきたのは、白いドレスを着て、髪の毛を上の方で結っているAの姿だった。
少し伏せられた瞳が大人の女の雰囲気を出していて、輝は思わず頬を染める。
すると、後ろから爽歌がAに近寄ってきて、お互いに台本のチェックをし始めた。
「Aちゃん、舞台の上だとすげー栄えるよな」
すると台本のチェックをしている爽歌とAの後ろから佐藤が近づいて来て、Aの髪の毛を一束持ち上げる。
「似合うじゃん。Aちゃん」
『先輩…』
そして次は爽歌に近づき、肩に腕を回す。
「爽歌も着ればよかったのに、このドレス」
「せ、先輩…こんな綺麗なドレス、Aちゃんしか似合いませんよ」
『そんなことないって…！』
三人の仲良さげな姿に双子は顔をそむけた。
それに気づいたちひろが声をかける。
「輝、翔。見ないの？」
「見ねーよ」
「練習する」
佐藤と爽歌が話している間にAがふと後ろを向くと、自分に向かって手を振っているちひろの姿があって、ニカッと笑いながら手をひらひらと振り返した。
だけど、いつも隣にいる幼馴染みの姿がなく、視線を辺りに巡らすと自分たちに見向きもしないでボールを持ってシュート練をしている双子の姿が見えた。
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琴音 - めちゃくちゃ、キュンキュンしました！ありがとうございました🙇 (2022年4月12日 23時) (
レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 私も鈴木君！好きなので嬉しいいです！！ (2020年4月15日 3時) (レス) id: 623759395b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきっち
| 作成日時：2016年11月23日 18時
