27話 遮られた言葉 ページ30
その声にAは顔を輝に向ける。
「だってオレは、すげー嬉しかったし……」
顔を赤くして言った輝は自分の言葉に恥ずかしくなったのか、つけていたウサ耳で顔を覆う。
お互いの顔は真っ赤に染まっていた。
ーー輝
ーー輝。
Aの鼓動が激しく脈打つ。
ドキン、ドキンとうるさい心臓は止められなくて…。
ーー私、ほんのすこし、うぬぶれてもいいのかな……？
あの「好き」は、「幼馴染み」としてだけじゃないって、思ってもいいのかな…？
今なら、言える気がする。
『ねえ。ひ、輝…』
呼ばれた輝はまだ収まらない顔の熱をウサ耳で隠しながらもAに顔を向けた。
その瞬間、また輝の顔が真っ赤に染まった。
Aが頬を赤くしながら輝を見つめていたのだ。
『私、あなたのことが、す、…っ、す、好…っ』
このさい一気に言ってしまおうと思ってAは最後の言葉を言おうとしたら、横からものすごい勢いで突進して抱きしめられた。
『き「黒瀬ーーー♡♡♡オレはオマエ(の演技力)に惚れたぞーー！！」
涙を流しながら抱き着いてきた八王子に二人は目を見開く。
後ろからは爽歌と翔が苦笑いしながら歩いてきていた。
((あーあ、もう少しだったのに…))
八王子はAを抱きしめ、頬をすりすりする。
「ぜひわが演劇部に入ってくれ♡
あ、でもオマエはもうバスケ部に入ってるんだったな。それなら助っ人で頼むッ！」
『あ、あの…』
「めざせ、未来のハリウッド！！」
八王子が泣き叫ぶ横では輝が体を震わせていた。
そして翔と爽歌は嫌な予感がして少しAたちから遠ざかると、案の定輝は爆発した。
「ジャマすんなよプリンス〜〜〜！！
肝心なとこ聞こえなかっただろーー！！！！
(つーか、Aからはなれろ！！)」
輝の声は学校じゅうに響き渡った。
幼いちひろは玄関前で泣いていた。
その隣には顔をうつむかせている幼い頃のAの姿があった。
「…ひろ」
泣きじゃくるちひろとずっと俯いていたAの頭を小さい手が撫でる。
「泣くな。A、ちひろ」
「もう泣くな」
ーー輝…？それに翔も…。
そうだ、この頃からAは私の前で泣かなくなったんだ。
幼い輝は顔を上げたAの頭をなでる。
翔と輝は力強い目でちひろとAを見つめた。
「「オマエたちの夢は、オレたちがかわりに叶えてやる」」
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琴音 - めちゃくちゃ、キュンキュンしました！ありがとうございました🙇 (2022年4月12日 23時) (
レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 私も鈴木君！好きなので嬉しいいです！！ (2020年4月15日 3時) (レス) id: 623759395b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきっち
| 作成日時：2016年11月23日 18時
