24話 甘い雰囲気 ページ27
観客席からはキスをしているように見えて、悲鳴が上がる。
舞台袖で見ていた鈴木兄弟と爽歌も顔を赤くすした。
「あ、あの…？」
Aが急に抱き着いてきて、頬を染めていると彼女はボソッと耳打ちをする。
『落ち着いて。
そのまま私の肩に腕をまわして』
ーー大丈夫、私に合わせて
Aの表情が真剣で王子は彼女に言われたとおりに腕を回す。
すると、Aは耳元でボソリと告げた。
『───…』
「！」
ーーオレのセリフ…！！
「こ…〈このまま君を奪い去ってどこかへ逃げてしまいたい。
君が手に入るなら、王子という身分に未練もない〉」
王子が言い切るとAがニコッと笑いかけた。
その笑顔に王子は胸をときめかせる。
二人の甘い雰囲気に観客のみんなは思わず顔を赤くした。
「わあ…。
なんか本物の恋人どうしみたいな雰囲気だね」
舞台袖では双子と爽歌が唖然と二人を見ていると、八王子は感心したように口を開く。
「黒瀬、アドリブでうまくつないだな。
体を密着させて、周りに気づかれないよう王子役にセリフを教えてやったんだろう。
とっさのラブシーンで観客を盛り上げて王子役のミスもカバーするなんて、大したもんだな」
八王子は隣にいる爽歌にチラリと視線を向けると、彼女は憧れの眼差しをAに向けていた。
そんな爽歌に小さく微笑むとまた視線をAと王子に戻す。
「それに、黒瀬につられて王子役まで恋におちたカオになってる」
八王子の言うとおり、王子役の子はAを見つめたまま頬を赤くしている。
(いや、ありゃ本気で黒瀬にホレたかもな)
ーー一流の役者は演技してる間、相手に本気で恋をさせるというが…。
すると翔が隣でムスッとしている輝に気づき、ニヤリとしながら肩をバンバンと叩いた。
「なんだよ、輝。
ラブシーンに妬いてんのか？
妬くな妬くな！演技だから」
「ふだんからオマエ、黒瀬と一緒にいるもんなー」
八王子もニヤニヤしながら翔と一緒に肩をたたく。
輝は顔を真っ赤にしながら反論するが、表情が分かりやすいためニヤニヤと笑い続ける二人には、ただの照れ隠しにか見えなかった。
「な、ちが…っ。
やきもちなんて…そんなんじゃ……」
すると、輝はAの足首を見てふと気づく。
続いて翔も彼女へと視線を向けた。
「あれ、A。
足、ケガしてね？」
「そうですか？私はよく見えませんけど…」
「いーや、血ィ出てるって。
かかとのとこ！！」
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琴音 - めちゃくちゃ、キュンキュンしました！ありがとうございました🙇 (2022年4月12日 23時) (
レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 私も鈴木君！好きなので嬉しいいです！！ (2020年4月15日 3時) (レス) id: 623759395b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきっち
| 作成日時：2016年11月23日 18時
