22話 初めての演劇 ページ25
1年4組の劇
『〈そんなのごめんよ。
私、恋する相手は自分で決めるの〉』
Aの演技に会場じゅうが頬をそめながら注目した。
「おい…あの可愛いコ、Aちゃんじゃねーか？」
舞台袖にいたAのクラスメートも頬を染めながら彼女を見る。
「本当にあの明るくて元気なA…？」
「……まるで別人じゃん……」
「てゆーか、いつのまにあんなにセリフ覚えてたの…？」
八王子は腕を組み、やっぱりという顔でAを見つめた。
八王子が話始めると、爽歌と鈴木兄弟も視線を八王子に移す。
「セリフまわし、表情、間のとりかた、さすがだな。
やっぱり演劇経験者だったのか。
オレの目に狂いはなかった」
八王子の言葉に輝と翔はすぐに否定した。
「ちがうよ、プリンス。
あいつ、オレたちの前でしか演技したことないんだ」
「一度も劇に出たことないし、いつも1人でこっそり趣味で演じてるだけだぜ」
双子の言葉に爽歌と八王子は驚き、八王子は輝の肩を掴む。
「それ…本当か！？
一度も劇に出たことがない？」
「え…うん」
押され気味の輝が返事を返すと、八王子は信じられないとAに顔を戻した。
「もし、それが本当なら…あのコは天才だ…！！」
それはのちに日本中を魅了する天才女優。
黒瀬 Aの初舞台の幕開けだった。
舞台は中盤に進んでいく。
「〈お嬢さん、あなたのおかげで命拾いしました。
お礼にこれをさしあげます〉」
一匹のうさぎが差し出したのは、ガラスの靴だった。
『〈まあ、ガラスの靴…？
ありがとう、ウサギさんたち♡〉』
Aはガラスの靴を履くと、はしゃぎまくる。
『〈可愛い♡
これシンデレラに出てくる、あのガラスの靴？〉』
「〈はい、これをはいた女性は素敵な王子さまと出会い、結婚できるという伝説が…〉」
『〈ん？〉』
するとAの足が上に上がる。
勝手に進む足にAはバタバタと手や足を動かした。
『〈キャーキャー！この靴、勝手に動いてるわ〉』
バタバタと忙しいAにうさぎは笑いながら人差し指をたてた。
「〈左様、この靴ははいている女性を王子さまのもとに連れてってくれるのです〉」
『〈な、何よ、この靴。
歩幅が大きいうえに、ガニ股…！？〉』
すると足が勝手に動き、Aは木や床に突っ込む。
『〈わわっ、そんなに急がないでッ〉』
会場中から笑いがおこる。
『〈もうッ！
この靴ムカつくわ、ウサギさん！〉』
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琴音 - めちゃくちゃ、キュンキュンしました！ありがとうございました🙇 (2022年4月12日 23時) (
レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 私も鈴木君！好きなので嬉しいいです！！ (2020年4月15日 3時) (レス) id: 623759395b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきっち
| 作成日時：2016年11月23日 18時
