20話 駆けつけた彼 ページ22
＿＿学校
「黒瀬がいなくなった！？」
「そうなんです。さっきまで私の手を握ってたんですけど、私がちょっと目をはなしたスキにいなくなってて」
爽歌からの報告に八王子は親指をかんだ。
「なんてこった……。
本番まで時間がない！！
全員手分けして捜せ！！」
クラスのみんなは全速力で校舎を駆け回る。
爽歌はさっきまで隣にいた存在が急にいなくなって、体が震えた。
「Aちゃん……」
手を握りしめて爽歌もAを捜しに走った。
「おーい、黒瀬！！」
「Aー！」
みんなの呼ぶ声が聞こえる中、Aは身体を震わせ、木々の中に身を潜めていた。
さっきから緊張で早くなる胸はおさえられない。
泣きそうになり、Aは頭を抑えて下を向いた。
ーー絶対無理だよ…
私なんかが代役なんて……。
ただでさえ、幼馴染みの前でしか演じたことがないのに、全校生徒が集まってる前で劇なんてできるわけない…！！
「A！！」
急に呼ばれた名前に、肩が跳ね上がる。
だけど、その声には聞き覚えがあって、Aが目に涙をためながら後ろを向くと、輝がボロボロの姿で立っていた。
「オマエ、こんなとこで何して…」
『ひかる…』
だが、自分が名前を呼ぶと、輝はバタンと倒れた。
Aは急いで輝のそばに駆け寄る。
『ちょ、大丈夫！？』
「わりィ、病院から翔と一緒に全力疾走してきたから酸素切れ……」
ーー翔と……？
Aは輝のそばに翔の姿がないことに疑問に思い首をかしげながら輝を見つめる。
輝が「星野のとこ」というと、理解したように首を縦に振った。
息を切らしている輝をしばらく見つめていると、輝は顔を赤くしながら言う。
「オマエがちひろの代役で劇出るってきいたから……」
ーー私のために来てくれた…？
(さっきぶつけたとこいてー)
ーーでも…。
『ムリだよ…私なんかにいきなり代役なんて…。
失敗して笑われてみんなにメーワクかけるに決まってる…！』
Aはガチガチ、と震える手を握りしめた。
ーー輝や翔、ちひろの前では普通に演技ができた。
けど、今回はそんな遊び半分の気持ちでなんかやってられない。
『怖い…。
怖いよ…っ』
ーーポロポロと涙があふれてくる。
止めなきゃいけないのに…。
怖いよ、全身で震えを感じる…。
Aは涙を見られないように下を向いた。
すると、ふわっと抱き寄せられて、一瞬世界が止まったように見えた。
輝は頬を赤くしながらもAを抱きしめる。
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琴音 - めちゃくちゃ、キュンキュンしました！ありがとうございました🙇 (2022年4月12日 23時) (
レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 私も鈴木君！好きなので嬉しいいです！！ (2020年4月15日 3時) (レス) id: 623759395b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきっち
| 作成日時：2016年11月23日 18時
