52話 ページ2
愛梨『それが何よりの証拠じゃない。鑑定士のあなたなら間違いなく知ってるはず』
なつみ「でも……」
コナン『それにあんたは、死んだ方がマシだと言っときながら、飛行機の爆発を着陸直前にしたり、今回の火災も自分が逃げ出せる場所と時間を計算して発火させた……』
なつみ「そ、それは……」
愛梨『本当に死を覚悟した計画なら、なぜレイクロックに残ってキッドとブラックの消火を妨害しなかったの!?あなたは所詮、自分に都合のいいようにしか考えることができない犯罪者だよ。決して学芸員なんかじゃない!』
学芸員ではなく犯罪者───その言葉にショックを受けたなつみは呆然とうつむいた。
中森がゆっくりと歩み寄る。
中森「まさかあんたがな……手を出すんだ」
なつみは観念したように、素直に両手を上げた。
(ゴッホの絵を愛しすぎた彼女は、鑑定の真実より勝手な思い込みで犯罪に手を染めてしまった……)
手錠をはめる音を聞いて、コナンと愛梨はフゥ……と息をついた。
すると、
キッド「どうやら片付いたようだな」
キッドとブラックがガレキの山を登って戻ってきた。
コナン「ああ……そっちは?登れそうか?」
ブラック「あたしたちだけならな」
愛梨「どうする?助けを呼ぶ?」
ガレキの山に腰かけたキッドは、軽く首を横に振った。
キッド「やめといた方がいい。下手に救助を呼べば二次災害になりかねねぇ」
ブラックはチューブ通路の外に広がる鍾乳洞を見上げた。
すると、つらら状に垂れ下がった鍾乳石が次々と落ちてきた。
ブラック「ヤベェ!!」
キッドとブラックは慌ててガレキの山から滑るように下りた。
鍾乳洞の天井のあちこちから水が流れ、落下した鍾乳石がチューブ通路や建物に激突し、大きく揺れる。
キッド「大丈夫か?!」
愛梨は座り込んだ蘭を支えながら「うん」と答えた。
コナン「それより、あとどれくらいもつ!?」
ブラック「まだ崩れてねーのが不思議なくらいだ。天井に少しでも穴が開いたら、外気が一気に流れ込み崩壊するぞ!」
ブラックの言葉に愛梨はクッ……と顔をゆがませ、気を失っている蘭を見た。
愛梨「ブラック!キッド!蘭だけなら一緒に飛べるの!?」
キッド「おい!バカなこと───」
愛梨「飛べるの?飛べないの?どっち、教えて!」
切羽詰まった真剣な顔で迫られたブラックは、フッ……と微笑んだ。
ブラック「恐らく飛べる。だけどこの落石を避けながら気圧の下がった空間を飛び続けられるかは定かじゃない」
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作者名:さきっち | 作成日時:2016年11月20日 23時