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44話 ページ44

新一とAが苦しそうに息をすると、背後でガラガラとガレキが落ちた。
展示室には煙が充満し、炎もすぐそこまで迫っている。

A「マズイな……」

新一「ああ。早くしねーと〈ひまわり〉どころかオレたちまで……!」

焦る気持ちを抑えながら、新一は拳でAは足でポールをガンッと殴って引っ張った。

コナン「キッド!!」
愛梨「ブラック!!」

ふいに呼ばれて振り返ると───コナンと愛梨が通路から展示室に入ってきた。

新一「お前らっ、戻ってきたのかよ!?」

コナン「んなことより、もう一枚は?」

愛梨「五枚目の〈ひまわり〉は大丈夫なの!?」

A「ああ。そっちのストッパーはあたしが蹴ったらすぐに外れたんだけど、こっちが変なところに引っ掛かって……」

新一とAに成りすましたキッドとブラックは、再びポールに手をかけてガタガタと動かした。

キッド「早く外さねーと、絵の具が溶けちまう……」

コナン「どけ!A!!キッド!!ブラック!!」

振り返った愛梨とキッドとブラックは「あ」と声を上げた。
コナンがひざまずいてキック力増強シューズのダイヤルをキリキリと回していたのだ。

キッド「バ、バカよせ!〈ひまわり〉だぞ!人類の宝だぞ!!」

ブラック「ちょ、おい!これはマズイって!!」

愛梨「し、新一!これにはさすがに私も反対だって!!」

立ち上がったコナンはベルトからサッカーボールを出し、床にはずんだボールを思い切り蹴った。
ボールは風にあおられて巻き上がった炎を突き破り、キッドをかすめて壁に激突した。
ギリギリでボールをかわして床に倒れたキッドの頭上に、崩れた壁が落ちてくる。

コナン「どうだ!?」

キッド「いててて……オメー、オレを狙ったろ!」

コナン「んなこと言ってる場合かよ!!」

ブラック「狙ったのか……」

愛梨「かわいそう、快斗……」

そんなキッドを哀れな目で見る双子。
コナンは壁に駆け寄って〈ひまわり〉を見上げた。
サッカーボールがめりこんで壁が崩れているものの、肝心のポールは外れない。

ブラック「ダメだ」

コナン「クソォ……」

キッド「なぁ、さっきの〈ひまわり〉はブラックの蹴りで外れたんだから、Aの蹴りで外れねーのか?」

ブラック,コナン,愛梨「………」

言われてみればそうだ。
さっき梨沙がポール外せたなら、姉のAが外せないわけがない。
双子は頭脳やら、容姿やらは似ているが、運動だけはいつもAの方が上だった。
それはAが小さくなっても変わらない。

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作者名:さきっち | 作成日時:2016年10月25日 22時

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