38話 ページ38
次郎吉「今のキッドとブラックは変装をしておらず、マジック道具も持ってないはず。この状況なら必ずヤツらに勝てる!ワシには信頼できる12人の仲間も館内に残ってくれておるしのォ」
(信頼できる12人……)
次郎吉の言葉を訊いて、コナンと愛梨はカードに書かれた数式と、〈ひまわり〉を隠すために、ホテルの部屋に飾られた〈最後の晩餐〉を思い浮かべた。
(そうか。十二使徒を12人と書かず『11人＋1人』と書いたのは、もしかしたら……)
二人は険しい表情を緩め、「次郎吉おじさん!」と顔を上げた。
コナン「信頼できる12人って、カードに書いてあったキリストの人たちと同じ人数じゃない？」
愛梨「何でキッドとブラックは『12人』って書かなかったんだろうなってずっと思ってて……。一人だけ仲間外れでもいたのかなぁ？」
愛梨が無邪気を装って言うと、蘭はハッと顔を上げた。
蘭「それって……ユダのことじゃない？」
園子「裏切り者のユダ？」
園子の言葉に、次郎吉と中森が振り返る。
園子「じゃあキッド様とブラック様は、私たちの中に裏切り者がいることを知らせようとして……」
中森「キッドとブラック以外に〈ひまわり〉を狙っているヤツがいるってことか!?」
園子が「ええ」とうなずくと、中森はあごに手を当てて考え始めた。
中森「鈴木相談役。7人のサムライたちのプロフィールを改めて調べようと思うんだが」
次郎吉「我々の信頼関係とセキュリティの混乱を狙ったものかもしれぬぞ」
中森「あいつらには再調査のことを知らせなければいい」
次郎吉「うむ。それならば調べることに損はなかろう。頼む」
中森「ああ」
中森は手元の受話器を取った。
大型モニターにはがらんとした人気のない展示室やチューブ通路が映っていた。
新たなウインドウが出現し、黒服の男が電話をかけている姿が映る。
『観客、キャスト共に退館完了しました』
次郎吉「よし。すぐに隔壁を下ろせ」
後藤「はい。隔壁閉じます」
後藤がパネルを操作すると、地上にある自動改札機の前の隔壁がゆっくりと左右から閉じていった。
警備室の照明がいきなり消えて、園子は思わず「きゃああ!」と悲鳴を上げた。
中森「停電か!?」
真っ暗になった部屋に、後藤の前の小さなモニターだけがぼんやりと浮かび上がる。
次郎吉「大丈夫じゃ。すぐに補助電源を起動させい!!」
後藤「はい」
コナンは後藤に走り寄り、「〈ひまわり〉のモニターを優先して!」と伝えた。
後藤「わかってる」
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作者名：さきっち
| 作成日時：2016年10月25日 22時
