君が壊れるその前に。【赤羽業】

暖かいの時間 ページ17

『私は………E組が……きらっ…………嫌いでしたっ…………』









嘘。そんなこと思ってなんかいない。









あんなに優しくしてくださったのに。









記憶を無くした私に優しくしてくれたのに。









私はなんて、最低な奴なんだろうか。









『いったっ…………。』









口の中に鉄の味が広がる。

唇を噛んでしまったからだろう。









じわりと涙が溢れる。









血の味が口に広がる。









悲しみと罪悪感が込み上げてくる。









けど、そんな資格は私には持ち合わせてはいなかった。









「緑川っ!!だいじょ……血出てるぞ!?ほら、ハンカチ。」









『い、磯貝くん……。何で此処に……？どうして私なんかの所に……？

私はあんなヒドイ事を言ったんですよ!?なのに……何故……。
皆さんは優しすぎます………』









「そんなの、決まってるだろ。

みんな、緑川のことを信頼してるからだよ」









そういってギュッと私を包み込んだ。









磯貝くんは暖かくて、とっても安心できた。









ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ









「一歩、遅かったかな………」









風が、彼の赤髪を揺らした。

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