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「そうだけど・・・え、早過ぎない?脳が追いつかないんだけど…」
「ろん、どっか出かけようよ」
「私今部屋着なんだけど…」
「メールそっけなくてごめん、ちょっと買い物があって急いでて」
「あ、ああ…大丈夫よ、それより、帰ってくるの早すぎじゃない?」
しどろもどろの私をぎゅーっと抱きしめて、そらるが「充電ー」なんて言ってみせる。
恥ずかしい男だ。私が質問しているというのに。
けれど、私を離す様子を見せないそらるにくっついているうちに、ぽつり、と。
「…会いたかった、」
こぼれた言葉に一番びっくりしたのは、たぶん私だろう。
だって、こういう甘い言葉を言うのはもっぱらそらるで、私は普段あまりそういうことを言わないから。
けれど、そらるはあまりびっくりするそぶりも見せずに抱きしめる力を強くしただけだった。
「ん、俺も」
「…会いたかった」
「うん」
そらるの背中に腕を回して、私もぎゅーっと抱きしめる。
幸せだなぁ、と思った。
「ねー、ろん」
「なにー?」
「ほんとは今日の夜言おうと思ってたんだけど、我慢できなくなったから今言うね」
「何よー」
どうせ今日の夕飯のメニューとかだろう。外食にしようかと思っていたが仕方ない。何でも食べたいというものを作ってやろう。
そらるは私から体を離して、甘く蕩けそうな笑顔を浮かべる。
そして、軽くキスをしてから言った。
「結婚しようか、俺たち」
あたまがまっしろに、なった。
けっこん、
「…結婚?」
「そう、結婚。今回離れて分かったよ。俺駄目だ、ろんが必ず家で待ってるって確信がないとやっぱり不安だし、…こうやって、家に帰ったらろんがいるって凄く幸せだって」
「…けっこん、」
「…うん。もう我慢できない」
「…ッ…ほんとに、私でいいの?」
声が震えた。
そらるは「今更」と言って微笑んだ。
そして頷いて、またキスをした。
「…一生大事にしてください…」
「言われるまでもなく」
君との時間に祝福を。
これからもずっと、ずっと、君と恋をしていたい。
隣のシーツは気づいたらまた暖かくなっていて、私はその温もりにどうしようもなく幸せになってしまうのだった。
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ゆづほたる - 更新ありがとうございます!!一番好きな天月さんの番外…めっちゃ嬉しいです;;さやえんどうさんの書くちょっと腹黒い天月さんが好きです!お相手は夢主ちゃんと全く違うタイプの女の人だけどどうなるんだろう… お忙しいと思いますが、続き楽しみに待ってますね〜! (2018年2月1日 0時) (レス) id: 6489e789b8 (このIDを非表示/違反報告)
まこと - お久しぶりです、更新ありがとうございます!番外編もっとみたいなーとずっと思っていたのであたらしく天月くんのお話が読めて嬉しいです…!他にも書く予定があるようであれば、大人になったみんなが集まって久々に同窓会みたいなのとか見てみたいです…(( (2018年1月28日 1時) (レス) id: 198b5f1113 (このIDを非表示/違反報告)
モノクロメロディ―。(3人目)@ついった(プロフ) - お久しぶりでございます!更新も、主人公が当時推してた天月さんなのも本当にうれしいです。ありがとうございます、若返ります(^-^)月9な天月さん楽しみです~!! (2018年1月21日 16時) (レス) id: f70edfb1d2 (このIDを非表示/違反報告)
ハル@チョコレート食べたい系女子(プロフ) - 更新ありがとうございます! お久し振りの更新、とても嬉しいです! 天月さんの月9のような恋愛、とのことでとても楽しみにしてます! 作者さんのペースでゆっくり頑張ってください! (2018年1月21日 16時) (レス) id: 0930a1d22b (このIDを非表示/違反報告)
夢羽(プロフ) - お久しぶりです!!三年前の当時からずっと読み続けさせていただいてます!!やっときました天月さんにスポットが!!と凄く楽しんで読まさせていただきました!続きが凄く楽しみです!ご無理のない範囲で頑張って下さい!応援してます! (2018年1月20日 23時) (レス) id: 3004edeb5d (このIDを非表示/違反報告)
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