続 》彼女もペットじゃないって知ってます？【夏油傑】[完]

19・愛するということ ページ38

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私が掲げる覚悟なんて

あって無かった様な物かもしれない。








これから、夏油さんと___




想像しただけで顔から火が出そう。
耳まで熱いし、頭がクラクラして


どうしていいかわからなくて
自分の身体をぎゅっと抱きしめた



『‥‥怖い？』

「ぃぇ‥」



優しくベッドに降ろされる。
昨日も、それにさっきまでここで横になっていたのに
どこか違う空間のように思えて



月明かりだけが頼りのその場所で

感じたことのないほどの色香を放つ夏油さんに組み敷かれ

バクバクとおかしい程暴れ出す心臓を落ち着かせる術なんて持ってなかった。



『震えてる‥』

「ｯｯ、あんまり‥見ないで」



両の手で顔を覆ってもそっと退けられ
手の甲に優しくキスを一つ



許しを請うようなその仕草に
またしても心臓をぎゅっと締めつけられる。

伏せていた漆黒の瞳が真っ直ぐ私をとらえた。




『Aの全部を‥わたしにくれるかい？』




夏油さんと出会って、好きになって

気持ちが通じたのにすれ違って。



今までの不安だった気持ちが浄化されるようで。

全身に鳥肌が立ち、視界がぼやける。



涙がこぼれ落ちないように唇を結ぶ。




小さく頷く私を見た夏油さんは
骨ばった掌を私の頬に滑らせ、優しく包んだ。










優しく落とされる口づけ。

何度も、何度も



触れるだけのソレは私の緊張を解くため、

と思ってくれての事なんだとしたら

きっと逆効果で。




薄く弧を描く唇はその見た目から想像するより
遥かに柔らかく、熱っぽく、


じっと見つめながら行われる行為に
余計に羞恥心でいっぱいになってしまう


かと言って目を瞑ればその行為を繰り返す彼の顔が脳内を埋め尽くし、
それはそれで正気じゃいられなくて。




もう何も考えられない

気の利いた事も言えない


けど、





「っ、夏油さん‥」

『なぁに？』




焦点が合わない程の距離



それでも、今

どうしても伝えたくなったこと





「好きです、夏油さん」





驚いた時に少しだけ大きくなる瞳。

困ったように寄せられる眉。




今だってほら。

その顔が、好きなの。

もっともっと見せて欲しいから、






今夜は今までで一番素直になろうと思うんだ。





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