続 》彼女もペットじゃないって知ってます？【夏油傑】[完]

15・鼻先に燻る熱 ページ30

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『‥‥38℃』

「はぃ‥」



全くもう、と呆れた声。

ああ、顔が見られない‥



『色々と聞きたいことはあるけど
　それはまた今度』

「‥ｽﾐﾏｾﾝ」



とりあえず軽く食べる物作ってくるよ、と頭をぽんぽんしてから夏油さんはベッドから立ち上がった。


あーあ、エステ行ってたのバレちゃった。
てゆうかあの感じだとバレてた、って事？
少し恥ずかしいな。

でもなんか話が噛み合ってなかったような‥



グラグラする頭のまま目を瞑る。
息を吸い込むと大好きな彼の匂いがして
包み込まれているような心地よさ。


初めて入る彼の部屋。
イメージとピッタリ合う、そんな感じ。

まさかこんな状態でのお邪魔しますになろうとは思ってなかったけど。






しばらくして夏油さんがトレーの上に
お粥と薬を持ってきてくれた。



『どう？食べられそう？』

「熱があると思った途端
　食欲なくなりました‥」

『子供みたいな事言わないの』



うう、と布団を目の下まで引っ張ったら
優しくひっぺがされて体を起こしてくれた。



『ほら、口あけて』

「ｯｯ、へ‥」



ベッドに腰掛け、
目の前にはスプーンを持つ
心配そうな顔の夏油さん。


優しさなのは充分わかってますが‥



「あの‥自分で『だめ』‥んぅ。」



‥大人しく口を開けた。


じっと見られて恥ずかしいよ。
こくん、と飲み込むと夏油さんはまた小皿に取り、フーフーしてからにっこりと微笑む。



『大丈夫そう？気分悪くない？』

「はい、美味しいです」



優しい味つけの玉子粥。
お茶碗二杯程をペロリと完食した。


薬を飲んで、お皿を片そうと出て行こうとする夏油さんに声をかける。



「着替えもしたいし、部屋に戻りますね」

『うん、いいよ。着替えたら戻っておいで』

「あ‥薬も飲んだしもう寝てれば治りますから」

『夜中に急変したらどうするの』



頑として譲らない夏油さんに折れた私は
着替えをして歯を磨いて
彼のベッドへと戻った。




こういうとこ、面倒見いいんだよな

なんて。



ますます好きになっちゃいそう。





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