10・期待に応えたい気持ち ページ10
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早速翌日から私は様々な知識を得るためにあちこち駆け回っていた。秘書なのにはしたないなんて意見は今は聞こえないふりをする。
資料室に行ってきます、と言う私に夏油さんはついてきた。何か用事があったのかな?とも思ったけどずっと私の側で棚に背を預けニコニコしているだけで。
「あの‥やりづらいんですけど、」
『ん?どうして?気にしないで続けて』
いやいやそんなに見られたら気にもしますって、とは言えない。資料をぱらぱらめくり、メモをする。次のお目当ての物は私の遥か頭上。
「夏油さん脚立ってどこですか」
『ん?あぁ、わたしが取るよ、どれ?』
あの緑の背表紙の‥と背伸びして指をさす私の肩に手を置き、背後から覆いかぶさるように手を伸ばす夏油さんは事も無げにそれを手に取る
(わ、近‥)
『はい、どうぞ』
「あ、ありがとうございます」
なんだこのシチュエーション。好きな人にされたら凄いドキドキするやつじゃん、と隣の人をちらりと盗み見た。
忙しいはずなのにこうして私の為に時間を使ってくれているのは感謝しかない。さりげない優しさが嬉しかった。
***
部屋に戻ると夏油さんがコーヒーを買ってきてくれた。上司にそんな事させるなんて、という意見も聞かなかった事にする。
忙しいのにすみません、と言うと
わたしがしたいだけだから気にしないでね、と笑った。
どこまでも優しい人だな、なんて温かいカフェオレに口をつけた。
これから繁忙期らしく、夏油さんの外出に同行する事が増えたから自然と一緒に過ごす時間も増えていった。
はじめは単なる気分屋で目新しい私で遊んでいるのかな、なんて思っていた。でもA社への同行をきっかけに、私は夏油さんへの見方が変わっていった。
宣言通り、私は秘書としての知識を叩き込んだ。休憩時間にも勉強した。
遅くなるといけないから早く帰りなさい、と言ってくれる夏油さんに余計な心配をかけまいと、業務後はそそくさと専務室を出て帰るふりをして、見つからないよう秘書室で遅くまで勉強した。
出ていく私に夏油さんが何か言いたげなのは、気づかないふりをしていた。
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すみっことかげ(プロフ) - 歯磨き子さん» コメントありがとうございます!嬉しいです☆お、ここにも夏油さん推しがいらっしゃいましたか!!かっこいいですよねぇ本当! (2021年10月1日 16時) (レス) @page48 id: 836ec41816 (このIDを非表示/違反報告)
歯磨き子 - キュンキュンしすぎて・・・ありがとうございます。夏油推しには最高です、夏油様どこにいるんでしょうか() (2021年10月1日 16時) (レス) @page48 id: 0d41b786f3 (このIDを非表示/違反報告)
すみっことかげ(プロフ) - こんぶさん» コメントありがとうございます!夢主ちゃんばりに驚いてもらえましたかね?面白いと言ってくださり嬉しいです!何故こんなおかしな事になってるのか、次話で明らかになるのでお楽しみに!! (2021年9月26日 7時) (レス) id: 836ec41816 (このIDを非表示/違反報告)
こんぶ - NYの新事実に目玉が飛び出る所でしたw私もニューヨークだと思っていたので。本当に面白いです(*^^*) (2021年9月26日 3時) (レス) @page44 id: 7f18273dc2 (このIDを非表示/違反報告)
すみっことかげ(プロフ) - しゅーくりーむさん» コメントありがとうございます!わあ!そう言っていただけて嬉しすぎます!夏油さんかっこいいですよね、やばいですよね。理想を崩さないように頑張って書きますね!! (2021年9月23日 8時) (レス) id: 836ec41816 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみっことかげ | 作成日時:2021年8月12日 16時