秘書ってペットじゃないの、知ってます？【夏油傑】

40・決別の紙切れ ページ40

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ヒュｯ、と体温が下がるのを感じた。





(そうか、そうだよね)





元々私は彼が入院する事になり、硝子から急遽お願いされただけの存在。勉強したとは言え所詮付け焼き刃、長年夏油さんの秘書を務めていた人との知識なんて雲泥の差だろう。



(そりゃ夏油さんだってその人と組んだ方が仕事しやすいよね、どう考えても)



まさか突然そんな事になるなんて考えてもなくて、トボトボと執務室に戻った




(でも、諦められるいい機会なのかも)







役員会の為、朝から社長室に籠もりっきりの夏油さんを思い浮かべる。


裏表あるし、キスマークつけて首輪とか言うし、この部屋で飼いたいとか言うし、
最初は顔の整ったただのヤバい人だと思ってたけど、女ってのはギャップに弱いもんでね‥






(はぁ〜、沼だ、こんなの‥‥)






まんまとハマった。

作戦だろうが何だろうが、仕掛人はあっちで
ターゲットはこっち。
絶対的な構図のもとに繰り広げられたモニタリングはターゲットの心を乱すだけ乱し、
仕掛け人の一人勝ちで幕を閉じようとしていた



(人の気も知らないで‥)



夏油さんもズルいよな、なんて考えたけど辞めた。それはお門違いか、








私だって、
彼にこの気持ちを伝えてないんだから。



(被害妄想すぎる、カッコ悪‥)




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午後になり、忙しなく夏油さんが戻ってきた。
この後も社長とその秘書(硝子)と外出らしく、
バタバタと荷物を準備し出て行ってしまった。




(伊地知さんの事、聞きづらいなぁ)





珍しく乱雑に置かれたままの資料は
先の役員会の物。
ファイリングしとこうか、と手に取った私は
そこに書かれてある文字を読み、固まった









　［ 支社増設に伴う人事異動 ］









［ ＮＹ支社・統括責任者 夏油傑 ］









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