秘書ってペットじゃないの、知ってます？【夏油傑】

29・フラペチーノ ページ29

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二人で会社近くのコーヒーショップへ。ランチ時なのでたくさんの人が歩いていた


すれ違う女の子の視線を感じると思ったら、それは私ではなく隣の彼へ注がれていて
これだけ顔が整っていれば無双状態だよな、なんて思ったり。


お店に到着し、ホイップたっぷりのドリンクを注文したら『ほんと女の子はみんな、こういうの好きだよね』って言われて、私の知らない誰かと比べられた気がして胸がチクリとした


コーヒーのタンブラー片手にこんなにサマになる人がいるなんて。


店内の色めきだつ視線もどこ吹く風の彼は


『美味しい？』

なんて微笑んでは、

『悟に今電話したら夜中かな？』


とイタズラな笑みを浮かべた。
私はずっと気になっていた事を聞いてみた


「副社長と仲良しなんですね」


『あー、悟？』


「はい、名前で呼び合ってたので」


『そうだね、悟は昔からの友人なんだ』


「へー‥そうなんですね」


『悟の事、気になる？』


「いぇ全く気になってません。初対面なのに偉そうで更にデリカシーのかけらもない人、夏油さんには申し訳ないですが、正直私は少し‥苦手です」


『ふーん、それって充分気になってない？』


「いえ、ですから気になっ


『ダメだからね』



私の言葉を遮った夏油さんは、タンブラーに口をつける


『よそ見をするなんて許さないよ』


一瞬変わった空気は


「え‥」


勘違いだったのかな？タンブラーを置いた夏油さんの顔はいつも通りで


『ねぇ、わたしは？わたしの事で気になってる事はない？』と聞いてくる


夏油さんの事‥‥


「え?!そりゃあありますよ。ていうか私、ほとんど夏油さんの事知らないですよ。秘書になるまでお顔も知らなかったし、副社長とお友達って事も今知った位だし‥」


あとは‥


「あと、さっき“女の子はみんなこういうの好きだよね”って言ってましたけど、一体どこのどんな女の子達と私は一緒にカテゴライズされたのかな、っていう事が気になりました。モテる人は記憶力も良くて尊敬するなって思いました」


ふん、可愛くないだろ！
無意識の発言が人を傷つける事があるんだぞ！


当の本人は少しだけ目を見張った後、少し言いづらそうに口を開いた




『みんなっていうのは、店内にいる女の子が皆飲んでるのが見えたからって事で‥‥‥』



(‥‥え？)



『A、それってもしかして、』



(だめ‥それ以上言わないで)









『‥‥嫉妬、？』




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