秘書ってペットじゃないの、知ってます？【夏油傑】

12・軟禁ですか？ ページ12

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さっきから3度目のスヌーズが鳴り響く。目の奥が重く瞼が上がらないが、いよいよ用意しないと遅刻する時間になりノロノロと体を起こした。


「顔、酷‥」



◇◇◇



絶叫をフロアに響かせ、夏油さんの下から逃げるように帰ってきた。バカバカバカ。何してくれてんですかまじで。はやる心臓に急かされるように足を動かした。


シャワーを浴びて布団に潜り込んだ。とにかく早く眠りたかった。帰っている時から今までずっと夏油さんの顔が浮かんで消えてくれなかった。


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(なんで今日に限って出勤なんだ‥)



気にしている素振りを見せたら負けな気がしていつもより丁寧にメイクをする。ふと鏡に写る自分の首筋に目が行き絶句する。夏油さんあなたって人は‥‥



私はいつもしないスカーフを首元に巻き、出勤した。



土曜日の社屋はいつもより人が少ない。それは秘書室も同じで普段あまり会えない硝子がカウンターにいた。


「おはよう、久しぶりだね硝子」

『おはようA、スカーフなんて珍しいね、
　可愛いじゃん』

「っえ？そう?!あ、ああありがとう‥」



動揺を悟られないようにあははーと笑っておいた。始業の準備を進めていると後ろから刺すような冷徹な声



『おはよう、青山さん』

「ひいっ」


今、超絶会いたくない人No.1のその声に呼ばれゆっくりと振り返る



『ちょっと来なさい』



はいと小さく返事をし、その背中に着いていった。視線を落としたまま部屋に入った為、ドアを閉めて目の前にいるその人にギョっとして後ずさった。


夏油さんはスカーフに触れた。



『コレ、どうしたの？』

「‥それ自分で言います？」

『ふふ、意識してる？嬉しいな』

「してません。物理的には意識してますが」

『なぁんだ、自分から首輪してきたのかと思って褒めてあげようと思ったのに』

「なっ！」

『ふふ、可愛い』



身を翻し、自分の椅子へ座った夏油さんは今日の予定を確認しながら口を開いた。てかさっき可愛いって言った？もうなんなの？



『Aはさ、もうカウンター業務はしなくていいよ、私がここで飼うって言ったよね？』



飼う‥飼う、あぁ私が昨日聞いたのは幻聴じゃなかったのか、なんて納得して、慌てて頭を振った。


「いえすみません私そういう趣味は‥」

『だめ。事務も勉強もこの部屋でするように』

「‥‥」

『秘書室長の家入さんにも言ったし、了承は得ておいたから』



‥‥はい？




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