秘書ってペットじゃないの、知ってます？【夏油傑】

2・お団子頭と腫れる頬 ページ2

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言われてみて気付いたがウチの上層部の顔、社長しかしらない。社長はプロレスラーの蝶○の様なゴリマッチョでやばい方に手を染めてるって言われてもあ、やっぱなって思ってしまう程の見た目。『でも可愛いとこあんのよ』と硝子から送られてきた写真に映る社長室の机の上には可愛らしいぬいぐるみが置かれていた。


副社長、専務といるらしいが基本従業員専用の駐車場からエレベーターで執務室へ直行するので、顔を合わせたことが無い。だが人はうわさ好きな生き物。どんな人達なの？と聞けば出てくる出てくる色んな話。


副社長はスラリとした長身で透き通るような白髪で蒼い瞳でとにかくグッドルッキングガイ。専務はキレ長の瞳でこちらも長身だが体つきは男そのもので色気がとにかくやばいそうで。
さぞおモテになるんでしょうね、会社の内外にファンが多数いるようです。一目見れたら体調も良くなるの！と同僚。じゃあ私はこの先、体調不良で悩まされる事もなくなるって事ね。‥そんな訳ないじゃんか神か何かかよ。



***


秘書室異動は来月からになった。こちらの引き継ぎなんかも考慮してくれて、ほんと硝子ってば仕事が出来る女だ。いつも通り勤務を終え、引き継ぎ資料を作っていたら少しだけ遅くなってしまった。人もまばらなホールを出て歩き出そうとすると柱の向こうからは何やら女のわめき声。おいおいこんな所でなにやってんだよ、と前を通るわけにもいかず足を止めた。


パシンッ____


突然響き渡る乾いた音。あーあービンタか、痛そう。でも大概この場合、悪いのは男の方。
最後に何かを叫んで掛けていく足音が遠ざかる。『はーあ、めんどくさ』心底面倒くさそうにその男が言い捨てた言葉に思わずえ、と口からこぼれ出てしまい慌てて口を抑える。


聞いてんのバレた。コツ、と靴の音が響き柱の向こうから男が近づく。そこにはスーツを身にまとい頭にお団子をつけた背の高い男が立っていて、バツの悪そうな顔をしてこちらを見ていた。「立ち聞きするつもりはなかったんです、すみません」と言い、横をすり抜けて帰った。





『ん〜まずい所見られちゃったな‥』

ま、いいか。
君はもう私のものになるんだから


小さくなったその子の後ろ姿を見ながら思案して思わずニヤける。少しヒリつく頬をさすりながらエレベーターのボタンを押した。

『は〜、硝子に冷やすものもらお』




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3・社長とご対面→←1・策士は一体だれだ

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