ハグしたら ページ7
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『…はぁ』
ある程度片付けを終えた私は、ベッドに腰をかけて小さく溜息をつく
…あの家から出れて良かった。
実際には4歳までしかあそこには居なかったけど…。
あの時は、お兄ちゃんに会えてたのも
週一、酷いときは月一くらいだった
ここは、空気や雰囲気…何もかもが違う。
『…っ』
「!」
私の隣で腰掛けているお兄ちゃんに、ギュッとハグをした。…勢いで2人倒れてしまったけど。
なんでしたのかは自分でもよく分からない。
癒されたかったのか、寂しかったのか、
……多分、全部。
『…_も、私も』
「…ん?」
兄の胸板に埋めていた顔を少しだけ上げると、
優しくて砂糖のように甘い表情で私の頬を撫でてくれる。
安心するし、すごく懐かしい気持ち。
でも少し恥ずかしいので、言いたいことは兄の耳元まで近づいて小声で言った。
『…私も、ずっと…ずっと、会いたかった』
「…!」
「…ごめん鼻血出そう」
『頑張って無限で止めて』
「いやいや、これは出血多量で死にかねないんだけど?」
『その調子だと大丈夫そうね』
私が胸板に顎を乗せて言うと、
「ククッ、バレたか」なんて笑うお兄ちゃん。
しばらく沈黙の間が流れた後に兄が言った。
「…ごめんね、今までずっと一緒にいてあげられなくて。
冥さんのところでも、本当に気が休む日なんて、そうそう無かったでしょ。」
私の頭を撫でながら、お兄ちゃんにそう言われる。
『あはは、でもそんなの少しだけだったよ?』
……そう、私は5歳から15歳まで、
一級呪術師の冥冥さんに預けられていた。
理由は言わずもがな、家に居たくないから。
そして、呪術界を知るため。
”「仕事の雑用でもいい。呪術師になるためには、
呪術界を知らなきゃいけない。俺も…強くなる期間も欲しいしね。
だから、Aを冥さんに預けたい。」”
と、お兄ちゃんが冥冥さんに頼んで了承をもらい、
私は彼女に預けられて生活してきた。
冥冥さんのことは大好きだし、大切な家族だと思っている。
でも、心から安心して生活できた日なんて、あったかな…と今振り返る。
気を遣わなくてもいいんだよと、優しくされていたけど、
きっとどこかで神経を使っていたように思う。
だからこそ、この寮は開放感に満ちているように見えた。
『…でも、これからは一緒に入れる機会増えるし、別にいいの』
「ふふっ、そっか」
「…あ、見つけた。」
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舞(プロフ) - 更新頑張ってください^_^ 応援してます٩( ᐛ )و (7月8日 15時) (レス) @page33 id: 17ec247796 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - 絵がうますぎます! (6月8日 6時) (レス) id: a64b7436ba (このIDを非表示/違反報告)
松野星月(プロフ) - 続き楽しみ!早くみたい (2022年12月30日 12時) (レス) @page37 id: 7e5eb61c5c (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - 最後不意打ちでナナミンの「シスコンはクソだ…」にまじで吹いてしまいましたwww笑いを提供してくれてありがとうございます! (2021年12月28日 22時) (レス) @page48 id: dd9bdc737b (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - ariaさん» 笑ってもらえて良かったです!笑笑 (2021年4月7日 22時) (レス) id: 6023f727dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:saya20071025 | 作成日時:2021年1月21日 20時