ねぇ、どっち…？2 (ページ1)

今日:11 hit、昨日:0 hit、合計:96,301 hit

51 ページ1

「やっと会えた…」

私を強く抱きしめるその人は

私を離してくれる気配がない。

電車きてるのに…

そう思っていたのが伝わったのか

パッと体が離れてその人の顔が見えた。

声で既に分かっていたが、やっぱりそうだった。

「テヒョン先輩…」

すごく久しぶりに会ったみたいに

私の頬を包んで頬を撫でるから、

恥ずかしくて顔を背けた。

「先輩…電車が…」

口を開いたと同時にドアが閉まっていく。

閉まっちゃった…

走り出した電車を悲しみながら見送っていたら

またテヒョン先輩に抱きしめられた。

「会いたかったぁ…」

耳元で聞こえてくる言葉にドキドキしながら、

向かいのホームに目を移すと

いつのまにか電車が来ていたのか、

ガラッとしていて、

そこにはジミン先輩の姿もなくなっていた。

「Aちゃん…」

不意に名前を呼ばれてハッとして

意識をこちらに戻した。

「これから毎日会おう…？」

「へ？」

突然何を言い出すかと思ったら、

テヒョン先輩は体を離して、にひっと笑った。

「俺、毎日Aちゃんに会えないと

ダメみたい…。

だから！大学にいる時になるべく会って、

大学で会えなかったら、外で会おう？」

「いや…それは…」

「なんで？だめ？」

そう言って唇を尖らせながら

お目目を大きくして可愛く見つめてくる。

「いや…、だめといいますか、

それは付き合ってる人たちのやることで

私とテヒョン先輩がやることじゃないです…」

「じゃあ、付き合おう？」

「はぁ？」

思わずそう言ってしまったが

これはしょうがない。

テヒョン先輩が悪い。

「からかわないでください…」

「からかってなんか無いよ。

本当に好きだよ？

だから、付き合おう？」

「え、いや、ちょっと待ってください…

急すぎて何が何だかわかりません…」

「はぁ…そっか、じゃあ…」

テヒョン先輩は少し間を開けたあと

再び口を開いた。

「Aちゃんがわかるように

毎日好きって言うね？」

「え！？いや、困ります…。」

「え～、どーしてぇ？」

しっぽを垂らした仔犬みたいに

肩を落としたテヒョン先輩。

「と、とにかく！困ります！」

そう言って逃げるように

ちょうど来ていた電車に乗り込んだ。

そしたら、テヒョン先輩も乗ってきて。

「送ってく」

そう言われてドアが閉まった。