検索窓
今日:6 hit、昨日:5 hit、合計:74,540 hit

29話 ページ30

こんなに人を愛しいと感じたのは


もしかしたら初めてかもしれない。


初めて知ったA様の体の小ささも、微かに伝わる震えも、吐息も何もかも


この時間がもし永遠に許されるモノならば



己の身が朽ち果てるまで抱き留めていたい。



そう思うのは悪いことだろうか



罪なのだろうか



ここまで大胆な行動をしたというのに、自分の気持ちは喉の奥に引っ掛かって取れはしない。



声に出そうとすれば嗚咽が漏れそうで


涙が溢れそうで





武士として、男としての意地を捨てられたならもっと自分は素直になれるだろうか




しかしこれが最後の賭けなのだ


今しか時間はない





恒興「…ご無礼をいたしまして申し訳ございませんでした。…実はA様にお渡ししたいものがございまして。」





A様からゆっくりと離れ、自分の脇差しと、小さなお香瓶を並べてA様の前に置いた。







恒興「これが…某の精一杯の気持ちにごさいまする。」







A「本当に…私がいただいても…?」






A様は涙を溜めた大きな瞳をさらに大きくして聞いてきた。


そして、思い出したかのように自分も有ると言って隣の部屋へ向かっていった。






A「…これ。よろしければ」







きれいな包みにくるまっていたものは、金平糖と筆入れだった。






A「戦には出ないとおっしゃっていたので、室内の仕事が多くなるのではと思い筆入れにいたしました。持ち運べて便利なので。」






恒興「わざわざのご配慮、ありがとうございまする。」






A「いいえ。これくらいの事しかできませんので。」







そんなことはない



こんな素晴らしくありがたい物を貰えるなんて、わしはなんて幸福者なのだ。



ただ




一つ我が儘をいうとすれば







わしはA様が






一番欲しい

30話→←28話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.2/10 (141 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
133人がお気に入り
設定タグ:信長協奏曲 , 池田恒興
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

カックン - 文才が有りすぎます。3分の1自分にくださいぃ〜(泣)更新待ってます! (2017年10月23日 16時) (レス) id: fd8c0bdfed (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - 面白かったです\(●°ω°●)/更新待ってますo(>∀<*)o (2016年1月18日 1時) (レス) id: f74b6eaea5 (このIDを非表示/違反報告)
若葉 - ホントに面白です( ´艸`)続き頑張ってください (2015年1月8日 19時) (レス) id: 17070948cc (このIDを非表示/違反報告)
みけ - 更新まってます!がんばってください! (2015年1月7日 0時) (レス) id: 13644432d2 (このIDを非表示/違反報告)
☆Dream☆(プロフ) - 更新まってます (2014年12月24日 19時) (レス) id: e48c81f2a9 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:紗華 | 作成日時:2014年10月24日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。