嵐の夜に・Fuga.O ページ9
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まるで付き合う前のあの日を思わせるような、そんな大雨の夜
あの日と違うのは電車は止まってないということと、今目の前にいる人が俺の彼女になったということ
「風……雅……」
「なんすか？」
「あの、なんでこうなった……？」
「…さぁ？…気分？」
ベッドの上、Aくんを組み敷いて見下ろすと、相変わらず揺れる綺麗な目が見える
「気分とは……？」
「自分があんまりくっついてくるから、シたいんかな？って」
「はっ！？ちゃうやん！あほ！風雅！あほ！！」
「……あほではない」
この人、ムードもへったくれもないな
大体、琉巧がおすすめしてくれたから、見らんわけにはいかんって理由で、ホラー映画なんか見るから悪いねん
なんで琉巧にすすめられたら見らなあかんねん
そのせいでひとりで寝れんって言い出して、お泊りコースになったんやん
……まぁ、そこに関しては正直、琉巧に感謝やけど
見てる最中もずーっとくっついて離れへんし、挙句の果てには一緒に寝てほしいって言われて、こっちはどんだけ耐えた気持ちでおったか
それをベッド入った瞬間からまた背中にくっついて離れてくれへんって
俺、拷問受けに来たんちゃうねんで
「とりあえず、風雅、どいて！」
「無理」
「なんでよ！！」
「俺がこうなってるんは、Aくんが悪いから」
「意味分からん！！」
この人、この年齢まで女ひとりでジャニーズおって、こんな鈍いってやばいよな
東京の人ら、過保護に育てすぎ
うちのお兄ちゃんらもやけど
「とりあえずさぁ、黙って？」
ぎゃあぎゃあうっさいから、キスで口を塞いだ
しゃあないから、俺が教育したろ
「んっ、ふ、が……」
捕まえてたAくんの手が、俺の手をきゅっと握り返す
煽られてる感じがして、柔らかい唇の隙間から舌を差し込んだ
時々漏れる甘い声も吐息も全部
逃したくないくらい愛おしい
体中で伝えたくなる
俺がどれだけこの人を好きか
愛してるか………
キスしたまま服の中に手を入れて脇腹に触れたら、解放してた左手で肩を殴られた
「……なに？」
仕方なく唇を離してAくんを見る
「な、なんか……風雅が……」
潤んだ目が不安そう
「俺が、なに？」
「な、慣れてらっしゃる気が………」
「は？」
慣れてらっしゃる？
俺が？
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作者名：Saya | 作成日時：2021年7月4日 0時
