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「この体勢があかんのか」
「え？」
「お前、俺の前座れ。そしたらもっと楽や」
「前？」
「そう」
末澤に言われるがまま、体を移動させる
「ここでいい？」
「ん、」
一瞬だけ離れてた体が今度は後ろから包み込まれた
「これのがええわ。骨折られる心配せんでええし」
「……心配せんでも折らへんわ」
さっきと違って、末澤の声が耳のすぐそばで聴こえるんがこそばゆい
「手、やっぱり冷たいな」
お腹に回されてた末澤の手が俺の両手を握る
「す、末澤さん？」
「なん？」
「なんで俺は今、手を握られているんですか？」
「温めてるからですけど」
「なるほど……」
自分からくっついてく分にはええねんけど、なんかこういうん、ちょっと緊張する
気心知れてる人とやったら全然大丈夫なんやけど、だって、末澤やし……
でも………
「末澤って、こんな匂いすんねや……さっきまで気付かんかった」
「変態か」
「好き……俺……」
「えっ、」
「末澤の匂い、好き……」
なんやろ、落ち着く……
「………紛らわし」
「ん？なに？」
「俺も割と好きやで」
「は？」
「Aの匂い」
「え、」
名前……呼ばれた……
「あかん、結構キツイな……」
「なに？やっぱり末澤も怖いん？」
「あほ、」
肩におでこを乗せられて、首筋に髪の毛があたってくすぐったい
「末澤、くすぐったい……！」
「無理」
「なにが、」
「お前が悪いからじっとしとけ」
「はぁ？」
意味分からへん
俺、なんかした？
握られた手から伝わる体温は高くて、冷たかった手が温められていく
「A……俺さ、」
「ん？」
「お前のこと……」
末澤が何か言いかけた瞬間、パッと明かりがついた
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作者名：Saya | 作成日時：2021年5月21日 12時
