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「あ、」
「なんやねん」
「あーーーっっっ！！！」
「うるっさ！！」
今、ガチャンっていうた！
ガチャンって！
「鍵っ！鍵閉まった！！」
「はぁっ！？」
慌ててドアを指さしたけど、時すでに遅し
ここの鍵、ドアが閉まったら外側から勝手に掛かる仕組みなんや
「末澤のあほ……」
「なんで俺やねん！！」
これはもう完全にツイてない……
「うわ、まじで開かへんやん！！なんやねんここの鍵！！」
ガチャガチャとドアノブを回す末澤
「古い建物やからか知らんけど、妙な仕組みになってるみたい」
「こんな状況、漫画かドラマでしか見たことないで」
「同じくです」
せっかくここから出られると思ったのに、まさかの振り出しに戻るやん
「まぁ、誰かしらみつけてくれるやろ」
座り込んだままの俺の隣に、末澤も腰を下ろす
「末澤、俺のこと探してくれてたん？」
「……たまたまな。帰ろうとしたらお前の荷物残ってるんに気付いたから」
「ありがと……」
「なんでこんなとこ閉じ込められてんねん。絶対用事ないやろ、物置部屋なんか」
「まぁ、色々あってさ」
「その色々を聞いてんねんけど」
俺をここに閉じ込めた元凶については、わざわざ話さんくてもええよな
他の子らとは上手くやってる人やし、仕事しづらくする必要ないし
「探検してたらついうっかりと、」
「お前、嘘下手やって言われるやろ？」
「え、」
「話したくないんやったらええけど、丈とか康二にあんま心配かけんなよ」
「う、ん……」
なんやろ、めっちゃ不思議や
末澤とこうやって並んで座ってることも、普通に話してることも
話すことはまぁそれなりにあるけど、ふたりきりの空間は初めてやし
「なんかここ変に寒いな……」
「末澤もそう思う？使われてない部屋やからかなぁ」
「雨降っとるし、気温下がってるんもあるんかもな」
なんてない会話
ほんまに普通の
でも、たぶんこれを誰かしらが見たら、きっとびっくりすると思う
「雨、結構降ってるん？」
「雷雨やで」
「うわ、最悪やん……」
雷はあんまり好きじゃない
「ここ聞こえへんな。さっきまでレッスン室では割と聞えてたけ、」
末澤が言い終わる前にゴロゴロとおっきな音がしたかと思うと、フッと部屋の電気が消えた
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作者名：Saya | 作成日時：2021年5月21日 12時
