関西Jr.になりました (ページ17)

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「……俺は平気じゃねぇよ」

「え、？」

「お前と離れんの全然平気じゃねぇよ」

真っ直ぐみつめられて、一瞬声が出なくなる

「お前の近くにいられないと、心配でおかしくなる」

「そ、んな……大袈裟な…」

「お前のそういう鈍いとこに助けられてた部分もあるけど、そのまま関西行かれんのホント無理だわ」

心配されてるんか貶されてるんかどっちなんやろ？って考えてたら立ち上がった樹に腕を引かれる

「わっ…！」

「行くなよ……」

ぎゅっと樹の腕の中に閉じ込められて、抱きしめられてるって理解した時には樹の匂いでいっぱいになってた

「……俺から離れんな」

「じゅ……り……？」

「……こんなこと言った所でどうせお前には何も伝わんないの分かってるし、関西行きだってやめないのも分かってるけど」

え、と
これはどうすればいいやつなんやろ……

「まじで行かせたくない……」

樹の寂しそうな声が耳元で聞こえて、すごく切なくなった

樹は大切な同期で親友で
いつも俺の味方でいてくれた人で

そんな樹と離れるということがどういうことなのかを、今更ながらに実感する

「樹……ごめん……でも、もう決めたことやから……」

「分かってるよ！お前さ、ほんと許さねぇからな！」

ばっと体が離されて解放されたかと思うと急に怒られる

「だからごめんって！！」

「ちげぇよ！！」

「何が！？」

「あっちで変な虫つけて来たら絶対許さねぇからな！！」

「はぁ！？」

「とにかく！！みんなにちゃんと自分の口から説明しろよ！！」

「それは分かったけど、さっきの何なん！！」

「自分で考えろ！俺が手加減してやってんのもハタチまでだからな！覚悟しとけよ！！」

は？なに？意味が分からんって！！
悪い虫ってどんな虫？手加減ってなんの？
頭ん中がパニックなってる内に樹が部屋を出て行く

「ちょっと樹！！」

「お邪魔しました！！」

バタンと玄関のドアが閉まり、樹は帰って行った

え、一体なんやったん……

「もう……何しに来たんよ……」

力が抜けた俺はその場にべたーっと崩れ落ちる

「お前、何やってるん？今、樹くんとすれ違ったけど」

樹と入れ違いに帰って来た兄に怪訝そうな目を向けられる

「……知らん」

もう本気で疲れた
もう訳分からんことは考えるんやめる

大阪からずっとキャパオーバーやねん
結局、関西異動前に樹と2人で話せたのはこの時だけだった