親友 ページ16
全ての予定を済ませ東京に戻ったのは、関西Jr.との顔合わせから2日後だった
その間、予想通り俺の関西異動話が関東まで伝わり、電話やらLINEやらの通知が鳴り止まなかった
うるさいから通知切ったけど
これは関東と交流ある関ジュの人らに迷惑かけてるかもしれんな
気が重くなりながらも我が家に帰宅すると、エントランスの前に人影をみつける
なんやろ……
警戒しつつ近付くと、よく見知った顔が確認出来た
「え、樹？」
「おかえり」
にこーっと笑う樹に嫌な予感を感じる
「何してるん？びっくりしたぁ」
「俺が何の為にお前の帰りをわざわざここで待ってたか、もちろん分かってるよな？」
「……はい」
「とりあえず入れてよ」
「どうぞ……」
オートロックを開けて樹を招き入れた
樹、相当怒ってるな……
部屋に入るとこんな時に限って兄は留守にしてて、樹と2人きりになる
「色々言いたいことあんだけどさ、とりあえず」
足を組んでソファに座る樹とその前でラグに正座する俺
ここ俺んちやのに……
「なんで連絡出ねぇの？電話もLINEも無視して、みんなどんだけ心配したと思ってんの？」
「はい…すいません……」
「連休明けまで帰らないって返信来た後から連絡とれねぇし、そうこうしてる内にお前が関ジュに異動なるとかいう噂流れるし」
ほんまにあっと言う間に情報流れたんやな
「Jr.内かなりざわついたのよ。まじで」
「はい…」
「師匠なんかびっくりしすぎて卒倒しそうだったからな」
ふっかさん、ごめんなさい
「あまりの騒ぎに滝沢くんまで出て来て、それで詳細を知らされた訳」
滝沢くん、説明してくれたんや
申し訳ないな
「俺たちはさ、お前の口から何も聞かされないまま異動を知ったんだよ」
あ……そうか
顔を上げると、寂しそうな目をした樹
「なんで話してくんなかったの？なんでそういう大事なことを誰にも話さず決めんの？」
「ごめん……」
「謝ってほしい訳じゃなくて……」
「うん、分かってる…」
「そんな言いにくかった？」
「言いにくいっていうか、この話は俺が聞かされた時にはもう決まった話で、断るっていう選択肢がなかったし、いずれは言わなあかんとは思ってたんやけど、まさか噂が先になるとは思ってなくて……」
ごめん……とまた謝ってしまう
「お前はさ、平気なの？俺たちと離れて」
「寂しいとは思うけど、全く会われへんくなる訳じゃないし、そこまでは……」
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作者名：Saya | 作成日時：2021年5月21日 12時
