関西Jr.になりました (ページ15)

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「入居する部屋って、こっちに親御さんの実家あるんちゃうん？」

「そうなんやけど、叔父さん家族が一緒に住んでるし、事務所で借りてくれるっていうからお言葉に甘えることにしてん」

「16で一人暮らしするん？大変やない？」

「今も向こうで兄と二人暮らしやから、それ程大変でもないよ」

「あぁ、そうか。親御さん、海外やっけ？」

「うん。もう3年離れてるなぁ」

「めっちゃ自立してるやん。すごいな」

「全然すごないよ。家事は割と好きやし」

「へぇ、絶対いいお嫁さんになるやん。やっぱり俺んとこ嫁来る？」

「行かないですって」

「なんでよぉ」

「なんでよぉ、ちゃうで。康ちゃん、ガード役失格やで」

「うわ、大吾！」

後ろを振り返るとじとっとした目で康二くんを見る大吾の姿が

「ちょっとした冗談やんかぁ」

「いや、康ちゃんは怪しい。丈くんに伝えさせてもらいます」

「大ちゃぁん！！待って待って！！」

丈くんに告げ口しに行く大吾を慌てて追いかける康二くん

また置いてかれてしまった

さて、どうしたもんかと辺りを見回す

他の子らはちらほら帰り始めてて、ちっちゃい子らは固まって話してる
可愛いな
みんな一緒に帰るんかな？

ほっこりした気持ちで見てたら、その中のひとりとぱちっと目が合った

嶋﨑……斗亜くん

思わずじっと見てしまったら、キョロキョロ目を泳がせたかと思うと思い切り反らされてしまった

え、見過ぎたかな
ちょっとショックなんやけど

反らされてしまうとこれ以上そちらを見続ける訳にもいかず、ポケットから携帯を取り出す

マネージャーさんに連絡して合流しよ

「あ、樹……」

新着通知が来てて、その相手は同期で親友の田中樹だった

“何してんの？”

とだけ書かれてたから、関西異動話はまだ伝わっていないらしい
良かった

“仕事で大阪来てる。連休明けまで帰らん”

と返信して、マネージャーさんに連絡を入れる

「A、放置してごめん！出れるか？」

マネージャーさんとの連絡が終わったタイミングで丈くんが来てくれて、一緒に部屋を出た

こうして関西Jr.との顔合わせがなんとか終わった訳なんやけど
まさかこの中に自分の運命を大きく変える出会いがあったことには、微塵も気付いていなかった

しかも、この数週間後にこの時会われへんかった人たちとは別にさらに新しい子ら入ったでって言われて、また自己紹介したのは別の話