従属と新生国 ページ4
「デライト・レーデ……！」
デライトは全員来たことに驚きつつも嬉しそうに口角を歪めた。
「まさかきちんと来てくれるとは思わなかったよ」
「そういう約束だからな」
今にも唾を床に吐き捨てそうな態度でチーノはデライトを睨みつけた。
だがそんな視線をもろともしないようにデライトはグルッペンを見た。
その瞳は上げられた口角とは対照的に冷めていた。
「改めて、だが。答えを聞こう」
「従おう、デライト・レーデ。俺達は、この国を新しく造り直す」
「嗚呼、望んだ答えだ」
冷めていた目は弧を描いて細められ、その笑みは狂気を孕んでいた。
デライトは両手を広げて歓迎する。
「良い国にしようじゃないか。頼りにしているぞ」
下げたくもない頭を下げて忠誠を誓う。
これが、彼らの答えなのだから。
一通り話が終わったあと、オスマンはぽろりと言葉を零した。
「そういえば、Aはここにはいないんですか？」
空気が凍ったような気がした。
それは絶対零度と言っても過言ではないほどに冷えていた。
「今ここにいる人間で全てだよ。なんだ、彼はここに加わらなかったのかい？」
探るような目をするデライトに、ゾムは食って掛かった。
「それは俺らが聞きたいんや言うとるやろ！！朝起きたと思ったら突然おらんくなっててん！！Aをどこへやった！！」
「ゾム、やめろ！」
掴みかかろうとしたのをトントンが押さえつける。
鋭い八重歯は剝き出しになっており、口の隙間から漏れる空気は人をも殺せそうなほど殺気を漂わせていた。
「……気に障ったようですまないね。ただ、私は本当に知らないんだ。彼が死んだとの報せも、彼がこちら側についたという報せもない」
心底残念そうにデライトは肩をすくめた。
デライトが言っていることは嘘ではない。そうわかったオスマンはトントンに向けて首を振る。
トントンは苦い顔をしながらもゾムに落ち着くよう諭した。
「さて、そうだな。ここはアンテリラ本国の属国という形になるが、アンテリラ国と名乗る必要はない。君達にこの国の名を委ねよう」
「我々国」
「……良い名前じゃないか」
デライトの提案にグルッペンが間髪入れずに答える。
それは滅んだ自国の名前だった。
デライトは満足そうに笑い、その名前を受け入れた。
「今日からこの国は我々国とする。総統は私、デライト・レーデだ」
その場にいるアンテリラ国の兵士達が歓声を上げた。
新生我々国、ここに誕生。
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雲英(プロフ) - ロクロさん» 勉学は苦手ですが、表現や言葉選びなどを褒めていただけるのは本当に嬉しいです。ありがとうございますXD (2022年1月30日 16時) (
レス) id: 18a835abc9 (このIDを非表示/違反報告)
ロクロ - おもしろいです。見させてもらってます。落ち着いた表現や言葉の選び方なので主さんの頭の良さが伺える…これからも頑張ってください、応援しています。 (2022年1月27日 18時) (レス) @page10 id: 65d7101284 (このIDを非表示/違反報告)
雲英(プロフ) - 脅威のセラフ@wrwrdファンさん» 前作からありがとうございます、そう言っていただけて嬉しい限りです:D 遅くなってしまいましたが受験頑張ってください、応援しています。 (2022年1月18日 22時) (レス) id: 18a835abc9 (このIDを非表示/違反報告)
雲英(プロフ) - きなこんこんさん» ありがとうございます、そのお気持ちが嬉しいですし励みになります:) (2022年1月18日 21時) (レス) @page7 id: 18a835abc9 (このIDを非表示/違反報告)
脅威のセラフ@wrwrdファン(プロフ) - キャー！妹の方です！ファンです！受験が終わったら馬鹿姉貴にも紹介します！大好きです！ああもう！ホントに大好きです!!!!!前作も勿論読破させていただきました！これからも応援しています！頑張ってください！ (2021年12月12日 16時) (レス) @page5 id: 602d714d2e (このIDを非表示/違反報告)
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