涙の痕 ページ2
一番に目が覚めたのは、ショッピだった。
「あ……れ」
開かない目を擦り、周囲の状況を見る。
昨夜は残り一本の煙草を吸うために外に出たところ倒れていたAを見つけ、基地の中にある部屋へ運んだ後、仲間達で今後のことについて話していた。
全員がここで雑魚寝していることから、あのまま寝落ちてしまったのだろう。
他の仲間達はまだ起きる気配がない。
起こさないようにそっと立ち上がり、外へ出れば新鮮な空気がショッピの胸いっぱいに入り込んでくる。
この澄んだ空気が心地良かった。
決めたのだ。仲間達と生き抜くことを。
もう何も怖くない。
「……ん？」
基地に戻ろうとしたショッピの目に、大きな木の根元にある不自然な影が映る。
目を凝らしてみれば、それは幹に寄りかかっている兄さんの影だった。
兄さんがここにいることに驚きつつも、ショッピは兄さんの元へ駆け寄る。
「兄さん！どうしてこ……」
ただそれから先の言葉は紡がれることはなかった。
兄さんは眠っており、その頬には涙が流れた痕が残っていた。
何故、泣いているのか。
その理由がショッピには見当もつかなかった。
ただ、あの兄さんが泣くなんて相当なことがあったはずだ。
「ん……」
「あ、に、兄さん」
ショッピの気配に気づいたのか、兄さんは唸りながらも目を開けた。
少し腫れた目がゆっくりとショッピを捉える。
「……あぁ、ショッピか」
兄さんは欠伸をしながら立ち上がる。
ショッピはその涙の痕については聞けなかった。
「決まったんやろ？全員で話し合って」
「……はい。もう、後戻りはしません」
「そうか。じゃあ戻ろか」
ショッピの決意を聞いた兄さんは優しく笑って歩き出す。
その一瞬、どこか愁いを帯びた表情をしていたのを、ショッピは見逃さなかった。
二人が基地に入った時には、既にメンバー全員が目を覚ましていた。
だが、その雰囲気は二人にもわかるくらい最悪のものだった。
グルッペンやトントンといった古参の面子は苦虫を嚙み潰したような顔をし、コネシマや鬱は焦りを隠せず、ロボロやシャオロンに至ってはその目から涙を零していた。
「全員そんなに思い詰めたような顔してどうしたんや。もう結論は出とるんやろ」
「違うんや、兄さん」
「どうしたんですか、トントンさん」
代わりにショッピが聞けばトントンは次第に泣きそうな表情になり、その口を重たそうに開いた。
「Aが、いなくなった」
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雲英(プロフ) - ロクロさん» 勉学は苦手ですが、表現や言葉選びなどを褒めていただけるのは本当に嬉しいです。ありがとうございますXD (2022年1月30日 16時) (
レス) id: 18a835abc9 (このIDを非表示/違反報告)
ロクロ - おもしろいです。見させてもらってます。落ち着いた表現や言葉の選び方なので主さんの頭の良さが伺える…これからも頑張ってください、応援しています。 (2022年1月27日 18時) (レス) @page10 id: 65d7101284 (このIDを非表示/違反報告)
雲英(プロフ) - 脅威のセラフ@wrwrdファンさん» 前作からありがとうございます、そう言っていただけて嬉しい限りです:D 遅くなってしまいましたが受験頑張ってください、応援しています。 (2022年1月18日 22時) (レス) id: 18a835abc9 (このIDを非表示/違反報告)
雲英(プロフ) - きなこんこんさん» ありがとうございます、そのお気持ちが嬉しいですし励みになります:) (2022年1月18日 21時) (レス) @page7 id: 18a835abc9 (このIDを非表示/違反報告)
脅威のセラフ@wrwrdファン(プロフ) - キャー！妹の方です！ファンです！受験が終わったら馬鹿姉貴にも紹介します！大好きです！ああもう！ホントに大好きです!!!!!前作も勿論読破させていただきました！これからも応援しています！頑張ってください！ (2021年12月12日 16時) (レス) @page5 id: 602d714d2e (このIDを非表示/違反報告)
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