☆４５ ページ45
ノートを手に取るとベッドに腰を下ろし、少し緊張して固くなった指先で表紙をめくる。
Aの字だ。
それはAの日記帳だった。Aの物に触れるのが怖くて何もかもそのままにしていたけど、Aが日記を付けている事さえ知らなかった。
�� 飽き性だから続くかわからないけどとりあえず始めてみよう ��
そんな言葉から始まるその日記は、確かに毎日ではないけれどAにとって大切な記憶が全て丁寧に綴られていた。
良い事だけでなく、大変だった事や泣いた日の事も。だけどその全てが……。
「なんだよ…これ。こんなの…って…。」
俺への愛が溢れていた。
俺が俺自身に恋をしてしまいそうな程に。
それ程にAの俺への�� 愛情 �瓩�込められていた。
いつの間にか目の前がぼやけていた。次のページをめくる指も震えている。
どうしてAを信じてやれなかったんだろう。こんなにも愛されていたのに。
堪えられず涙が零れそうになった時、背中に「父ちゃん」と心配そうな声を受けて慌ててシャツの袖口で目をこすった。
振り返った先には大きなタオルを肩から掛けた智が心配そうにドアの隙間から顔を覗かせている。
「何やってんだ。そんな格好してたら風邪引くぞ。」
髪からポタポタと雫を垂らす智の頭をしゃがみ込んでタオルの端でガシガシと拭く俺の首に智の手が巻きついた。
「どうした？」
「……いいよ。」
「ん？何が？」
「泣いても…いいよ。お姉ちゃんが言ってた。父ちゃんは本当は凄く寂しがり屋さんなんだよって。だから寂しそうな時は抱きしめてあげてねって。」
「何言ってんだよ。父ちゃんそんなに泣き虫じゃないぞ。」
「我慢しなくていいよ。…父ちゃんには俺がついてるからさ。」
そう言った智が回した腕にさらに力を込めた。小さな体が温かくて気付けば俺もその背中に腕を回していた。
「お姉ちゃんと母ちゃんは似てるけど違うよ。」
智のその言葉に返事は出来なかった。
智の言っている事が正解なんだと智を初めて抱きしめて気付いた。
彼女を抱きしめた時よりも、智をこうして抱きしめている今の方がAを感じていたから。
カタチも大きさも全く違うのに、智はAと同じだった。柔らかくて優しくて…とても温かい。
しばらく俺の涙は止まらなかった。
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リュリュ(プロフ) - asamiさん» asamiさん☆こちらでもあちらでもありがとうございます！長い時間かけたにも関わらず、最後を見届けてもらえて嬉しいです！またいつか…☆本当にありがとうございました！ (2019年1月23日 21時) (
レス) id: 533f88702c (このIDを非表示/違反報告)
asami(プロフ) - お久しぶりです！待ってましたよ(^^)ありがとうございます！リュリュさんのお話大好きだから、これでおしまいだなんて寂しいです。。でも…また会えますよね？(^^)素敵なお話をありがとうございます！ (2019年1月23日 19時) (レス) id: d53227b1bf (このIDを非表示/違反報告)
リュリュ(プロフ) - うふさん» うふさん☆お返事遅くなりました。きゃー！涙雪！ありがとうございます。待っていてくださって嬉しいです。うふさんのコメントが優しさで溢れてて感激です。どうぞ最後までよろしくお願いします☆ (2018年5月30日 23時) (レス) id: 533f88702c (このIDを非表示/違反報告)
うふ(プロフ) - リュリュさんおかえりなさい！お休みされてる間も私の大好きな涙雪を何度も読んでは、リュリュさんのことお待ちしていました(^-^)優しさが溢れるようなリュリュさんの作品が大好きです。このお話も楽しみにしています！ (2018年5月29日 21時) (レス) id: 70c23ef30e (このIDを非表示/違反報告)
リュリュ(プロフ) - はるさん» はるさん☆読んで頂けるだけで嬉しいのに、コメントまで…。いつもありがとうございます(*^^*)またお会いできて嬉しいです。最後までよろしくお願いします！ (2018年5月28日 13時) (レス) id: 533f88702c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リュリュ
| 作成日時：2016年12月30日 0時
