act 58. 実況スタート ページ11
うっしーに呼び出されたのに、着いたのはレトさんの実況部屋だった。
「俺ん家で撮ろーってなってん」
「……あ、あの、実況部屋が、め、目の前に……!!」
「あー、Aは初めてか」
「うん! すごい! ほんものだ!!」
キラキラしているA、かわいい。レトさんの実況部屋、初めて来た時は緊張したけど、今ではなんか、自分の家?ってくらい居心地がいい。
「じゃあ撮ろかー」
緑のカーペットの上に、手元が映るようにセットしたカメラの横で、レトさんが準備をしながら言った。
「え、手元映すの?」
そう言いながらガッチさんは、レトさんの隣に座る。
「俺の持ち込み企画だから」
ガッチさんに返事をしつつ、レトさんとカメラを挟むように座ったうっしー。俺もいつものように、うっしーの隣に並んだ。
「Aちゃんは、いつもだったらフジくんのとこやね」
レトさんが笑う。
「おいで」
Aに、俺の隣をぽんぽんと叩いて見せると、少し照れながらやってきた。
「……おじゃまします……」
そう言いながら、静かに正座をするA。
膝に乗せた手の先に、思わず目がいった。
「爪かわいい」
「あ、ほんとだかわいいねぇ」
俺の言葉に反応して、Aの手元を見たガッチさんがにこやかに話しかけた。
「佐々木くん……、うっしーが手元映すって言ったから、やってもらったんです」
今日二度目ましてのガッチさんに緊張しているようで、Aの返事は少し固かった。
「そんな緊張しないでよ、この前みたく自由にしていいから」
そう言われて安心したのか、Aは朗らかに笑う。
「じゃあ撮るよ」
レトさんの声と共に、録画ボタンが押された。
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作者名:咲希さん | 作成日時:2021年3月27日 10時