episode6. ページ8
支度をして家を出たのは、メールを貰った1時間後だった。
もともとメイクも薄めだし、髪もドストレートでくせがつかないおかげで、服を選ぶ時間に集中できた。
といっても、相手はあかね。いつものようにカジュアルなパンツスタイルで出てきた。
指定されたカフェの近くまで行くと、オープンテラスの端っこに座るあかねを見つけた。
あかねって、あの性格のくせにかわいい服ばっかり着てるよなぁ。しかもめっちゃ似合うのが腹立つ。
「声に出てるよ」
そう言われてハッとすると、私の横には店長……ガッチさんが立っていた。
「がっ……!ガッチ、マン……!!」
「最近よく会うねぇ、ていうかそっちで呼ばれたの初めてかも」
微笑む店長。かっこいい、けど。
これだけ会えば疑う。私なら疑う。
「す、ストーカーとかじゃないですから! ほんとに偶然で……!!」
「え? あはははっ、安心してよ、思ってないよ」
思い切り笑って、頭をぽん、と撫でてくれた。うわ、ずっる。心のどこかで、まだ彼のことを好きな自分が、早鐘を打つ心臓を揺さぶる。
「ちょっと」
店長と話していると、いつの間に気づいたのか、あかねがすぐ近くまで来ていた。
「全然来ないと思ったら……、すいません」
あかねが、店長に軽く頭を下げた。そういやバイト時代、私がいるからって入り浸ってたなこいつ。
「いいよ、声掛けたの俺だし。じゃ、またね」
そう言うと、カフェとは反対方向にいる奥さんの元へ走っていってしまった。
え、わざわざ私に話しかけてくれたの? やばすぎない?
「何ぼーっとしてんの? 行くよ」
店長の背中が小さくなるまで見つめていたら、あかねに引っ張られた。
まって、どこいくの?
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作者名:咲希さん | 作成日時:2020年12月22日 15時