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episode27. ページ29
「よっ」
待ち合わせに来た彼は、それはそれは大遅刻をかましてくれた。
「……遅いです」
隣にいるあかねが、キヨを睨みつけた。
焼肉に行くって言ったのに、まるでライブに行く時みたいにかわいい格好をしたあかね。
推しと繋がってしまうかもしれないビッグチャンスなんだから、頼むから私の推しにそんな態度取らないでくれ、悲しい。
「あかねちゃん、だよね? 今日は急に呼び出してごめんなさい」
あかねの態度なんてなんのその、キヨは礼儀正しく頭を下げた。
年甲斐もない態度をした事を反省したのか、それを見たあかねは小さな声で、大丈夫です、と言った。
「今日はまふまふも来るからさ、まあ楽しんでください」
それだけ言うとキヨは、行こっか、とナチュラルに私の手を取る。
「ひぇっ……」
「何その反応」
少し後ろを歩くあかねに言われて、私は空いている方の手を使って口元を覆う。
「推しがまた私の手を握っている……」
「いい加減慣れてよ、彼女じゃん」
それを聞いていたキヨは、ははっと笑って言った。
「無理です……」
「……それは困るんだけど」
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作者名:咲希さん | 作成日時:2020年12月22日 15時