episode21. --ky said-- ページ23
「すんませんした」
俺は今、自分の家でガッチさんとともに土下座をしている。
いや、ガッチさんは頭下げる必要ないと思うけどね。
昨日の今日で、SNSがプチ炎上中の俺は、炎上した理由と、彼女の個人情報が流出寸前の状況を事細かに話した。
「いや、謝られても……」
大の大人の男の土下座を前に戸惑う彼女。そこにすかさずガッチさんが割り込む。
「Aちゃんは怒っていいんだよ？ 元はと言えばコイツの不注意な訳だし」
「いや、まさかひきフェス中に打ち合わせとか思わなくて……」
俺が言い訳を重ねて、ガッチさんにまた怒られた。
そんな中、小さい声が耳に入った。
「……私、どうすればいいんですかね？」
それは不安で堪らない彼女の声で、その姿に、自分の軽率さを思い知らされる。
そんな彼女に、ガッチさんは言った。
「……これはもう、キヨに守ってもらうしかないよ」
「……え？」
「俺、意外とこーゆーの慣れてっから、今日は安心してって、言いたかった」
巻き込まれキング、なんて不名誉な二つ名があるくらいだから、とは言わなかった。
「俺はよく知らない男の家でも安心出来るようにって呼ばれただけだけどねぇ〜」
ガッチさんがヘラヘラと言う。緊張感急にないなこの人。
「あ、あの、守るって……ど、どうやって……？」
不安そうな彼女。ここは素直に言うしかない。
「……とくに考えてないけど、まあ大丈夫だから」
「えっ、考えてないの？」
驚いた様子のガッチさんに、キヨは開き直ったように言った。
「だって、なんて言っても火に油でしょこんなん」
「まあそれもそうだねぇ」
ふぅっ、と息を漏らすガッチさん。
「まあ、俺もそれとなーくAちゃんのこと、店長時代の知り合いだってこと公表しとくよ、いい？」
そうガッチさんに聞かれて、ひゃい！ と返事をした声はすげぇ裏返ってたし、すげぇ噛んでた。
恥ずかしそうな彼女に、思わず笑ってしまった。
「キヨ〜、笑ってないでちゃんと考えろよ〜」
「わかってるわかってる」
episode22.→←episode20. --ky said--
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 125人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：咲希さん | 作成日時：2020年12月22日 15時
