episode14. --ky said-- ページ16
「大丈夫……ですか?」
思わず声をかけていた。
酒の飲みすぎ、自業自得だとは思ったけど、それでも、彼女の見た目だと、後が面倒くさそうだ。
ほら、近くの席の男が変な目で見てる。
俺には関係ないかなとは思うけど、一応知り合いの知り合いだから、後味悪い。
「……キヨ?」
顔を上げた彼女と目が合う。
「えっ、あっ、そうっすけど……」
酒のせいだろう。わずかに濡れたような瞳に、上気してほんのり染る頬。
どこを見ても色っぽい彼女に、俺は動揺してしまった。
「そうっすけどって……、あはは!」
今度はお腹を抱えて笑い出す。
なんだコイツ。元気じゃねえか。
「……心配して損したわ」
「あはは! ありがとうございます、大丈夫です」
まだ笑ってるし。笑い上戸か?
一瞬でも色っぽいと思った俺をぶん殴りたい。
「大丈夫ならよかったっす……、ガッチさんの知り合いっぽかったから気になって…」
「え?」
「っ……! 何でもねぇ! 気ぃつけて帰れよ!」
そう言って、俺は何故かさっき居た席に座った。
今思えば、まだ動揺してたのだろう。
「……一杯下さい」
小さい声で、カウンターに居る大将に言った。
あいよ! ときちんと聞き取ってくれて、直ぐに酒が俺の前に出された。
綺麗な顔してるくせに、大口開けて楽しそうに笑いやがって。
……禁酒はやめだ。飲まなきゃやってられるか。
episode15. --ky said--→←episode13. --ky said--
125人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:咲希さん | 作成日時:2020年12月22日 15時