episode13. --ky said-- ページ15
ぶっちゃけると、第一印象は、何こいつ、だった。
いつものように実況を撮って、4人で飲みに行った居酒屋で、話しかけてきた女。
ガッチさんの事を店長、と呼んでいた。
ゲームショップ時代の知り合いっぽいけど、年齢差は明らかで、関係性はイマイチ分からない。
だけど、チラッと見たその顔は、まさしく恋する乙女の顔で。
こいつ、ガッチさんが既婚者なの知らねえのかな。
なんて呑気に考えていた。
「ガッチさん顔広いなぁ……」
「あんな可愛い子と知り合いとか、ガッチさんコミュ力どうなってんの?」
彼女が離れた瞬間に、隣に並ぶレトさんとうっしーが口を開く。
「いやいや、俺が働いてた時のバイトの子だよ〜。今朝も会ったんだけど、この辺で働いてるっぽいんだよね〜」
「へー」
「えっ、興味なさげじゃん!」
適当に相槌を打ったレトさんに突っ込むガッチさん。
その後も他愛のない話をして、その日はお開きとなった。
が、俺は帰れなかった。
店の外に出たものの、しばらくして忘れ物をしたことに気づいた。
慌てて店に戻り、忘れていた携帯を見つけ、ほっとしたのもつかの間、奥の方からガタンっと大きな音がした。
振り返ると、店の奥で俯くあの女だった。
まだ居たのかよ……、そう思いつつ帰ろうとしたのだが、全く動かない彼女をみて、俺は思わず彼女の元へと向かっていた。
ったく、何してんだ俺は。
episode14. --ky said--→←episode12.
125人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:咲希さん | 作成日時:2020年12月22日 15時