episode12. ページ14
キヨ……さんに指定された居酒屋は、シャッターが閉まったままで、てっきり真っ昼間から開いてるのかと思った私をビックリさせた。
まあ、そりゃそうか。
そう思った直後、長身の男性が突っ立っているのが目に入った。
居酒屋のシャッターの前で、推しが私を待っている姿を見るというのは、何だかとても不思議で、それでいて謎の優越感がある。すごい嫌なオタクだな、私。
しかし、立っているだけでもうかっこいいというのはどうなの??
面白くてかっこよくて時々かわいくて、天は彼に何物与えれば気が済むの??
「あ……!」
1人ブツブツ呟いていたからか、単に気配に気づいたのか、私を見つけた彼は、目深に被った帽子をちょこっと上げて笑った。
いやもうそれは反則じゃない? てか今日も素敵ですね!!!!
心の中の荒ぶりを隠すように、私はあたかも冷静かのように振舞った。
「お待たせしてすみません」
「いや全然!急に呼び出してごめんね?」
「いや、大丈夫です。どうせ予定とかないので……。 それより、こんな道端に突っ立ってて大丈夫なんですか……。その、ファンとか……」
「大丈夫大丈夫、普段は声掛けられたりとかしないよ、芸能人じゃないし。昨日がレアだっただけ」
「はぁ……、そうですか」
とりあえず行こう、と言われて、キヨさんの歩く方へとついて行く。
あれ? 私なんで呼ばれたんだ?
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作者名:咲希さん | 作成日時:2020年12月22日 15時