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あの騒がしい1日から数日後、珍しくキヨくんは1人でうちに来ていた。
「レトさん、どー思う？」
「何がや」
急に連絡が来て焦った。部屋もちょっと散らかってたし、飯食ってる途中だったし。まあ、そんなの今更なことに気づけたのは、不幸中の幸い。
変に意識してしまえば、この気持ちがバレてしまいかねない。
俺は敢えて全部そのままにして、キヨくんを迎え入れた。
「この間のこと、結局Aはさ、言い忘れたーって言ってたし、嘘ついてる感じじゃなかったけどさ」
「惚気なら聞かない」
そう言って俺は編集作業を進めることにした。けど、キヨくんは引かない。
「惚気じゃねえって！ だってレトさん知ってるでしょ？ 本当はA、俺の事好きじゃないって」
「……そんなこと言ってたなぁ」
そう、Aはキヨくんが好きじゃなかった。それはAからもキヨくんからも聞いた話だった。
相手は誰だか知らないけど、Aにはずっと好きだった人がいたらしい。
その人に振られて、落ち込んでいたところにキヨくんから告白されたとか何とか。
「それでもいいって言ったのはキヨくんやろ？」
「いや、そうなんだけどさぁ……」
「相手がガッチさんかもって？」
「いや、それは」
「そう思ってるって顔に書いてあるで」
何年一緒にいると思っているんだろう。考えてる事は手に取るように分かる。それでも。
例えば俺がAみたいに女の子で、Aみたいに気づかいが出来るタイプだったら、この想いは実っていただろうか。
そんなこと、考えても無駄なのに。
「キヨくん、Aは俺の友達やで。嘘はつかないし、浮気とかも絶対しない。それは俺が知ってる。大丈夫やで」
「そうかなぁ」
「信用ないなら帰れや」
そう口を尖らせてみせると、キヨくんは笑った。
「なんかいつもレトさんに助けられてんなー、ありがと！！」
じゃあ帰るわー、と玄関に向かうキヨくんの背中をみて、ほんとにそれだけの為にきたのかと呆れてしまう。
それでも、その背中から目を離すことは出来なかった。
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咲希さん(プロフ) - あるふぁさん» コメントありがとうございます！ほんとに嬉しいです……！！ 自分で作っててほんと報われろってなりました。悲しい。もし良ければ他の作品も見てくださいー！ (2021年8月11日 19時) (
レス) id: b98c56f2f0 (このIDを非表示/違反報告)
あるふぁ(プロフ) - 物語の中に歌詞が自然に埋め込まれているのが凄いと思いました。こんなに感動したのは久しぶりです。本当に面白かったです。 (2021年7月26日 14時) (レス) id: 6bd59ee699 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲希さん | 作成日時：2020年11月28日 20時
