grace 【沢北栄治】

１２ 強豪校のスタメンなんて ページ12

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深津は特に何も言わないし表情もいつもみたいに変わらないけど、何だか…不安そうにしている。








「深津…大丈夫？」








隣に立ち上がった深津を見上げて思わず聞いてしまった。








「……」




「ごめん、大丈夫なら私の勘違いだか…」





「……スタメン、なんで俺なんだベシ」





「え？」





「俺が試合に出て負けてしまったら責任とれない…」









深津は不安そうに俯いて言った。



そうか…深津はプレッシャーを感じているんだ。



堂本先生が深津は中学の時から全国のバスケプレーヤーの群を抜いてガードの才能があると言っていた。


そして山王に引き抜かれ1年目からこんな強豪校のスタメンなんて、そりゃいつも冷静な深津でも不安になるはずだ。










「みんな深津のこと認めてるから大丈夫だよ。ほら、考えすぎると悪いことばっかり考えちゃうから少し気を楽にして考えずにやってみることはどうかな？きっと、大丈夫だから」





「……！」





「自信もって………って私に言われても説得力ないか〜」










色々思ったことを言っちゃってこれ以上深津にかける言葉がなくて、ん〜と悩んでいると深津の肩が揺れていることに気づいた。


……もしかして笑ってる？











「Aがマネージャーらしくて感動したのに最後で笑えたベシ」






「ひどい！てか、マネージャーだし！」





「そうだったベシ」





「も〜。でも、いつもの深津に戻ってよかった」










へへっと笑うと深津は私を見ては耳を赤くしてすぐに立ち上がった。









「え、なに？どしたの？」






「…………なんもないベシ」





「あ、自主練するんだったね！ボール拾ってあげるよ！」









深津は頷いてシュートを打ち始めた。



転がったボールを下手くそなりに深津にかえす。私の弱いパスじゃ物足りないかもしれないけど、少しでも力になれるのなら何だってする。



深津の綺麗なシュートホームを見て、明後日はきっと勝てると確信した。

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