55話 ページ7
「ふざけるな!!!」
「っ…!」
豪炎寺の剣幕と怒号に虎丸は肩を揺らす。だって、あのときからずっとそうしていたから。あのときと同じようなことが起きるのが怖かったから。
「…そんなサッカーは、本当の楽しさじゃない」
見ろ、と豪炎寺が自陣を指し示し、ここにいるのは日本中から集められた最強のプレーヤーたちなのだと告げる。
「そして!敵は世界だ!!…俺たちは世界と戦い、勝つためにここにいるんだ。それを忘れるな!」
「…そうだぞ、虎丸。全員が全力でゴールを目指さなくちゃ、どんな試合にも勝てないぜ!もっと、俺たちチームメイトを信じろって!!」
豪炎寺の言葉に何も返せず俯いてしまった虎丸に、近付いてきた円堂が明るく声をかける。不安げな彼を安心させるように、にっと歯を見せて笑顔を向けるとぐっと親指を立てた。
「チームメイト…」
「そうだ!今の想いを、全部サッカーにぶつけろ!俺たちが全部受け止めてやる!!」
「キャプテン…!」力強い声が、左肩に置かれた手が、こちらを見つめる真っ直ぐな瞳が、その言葉に嘘はないのだと教えてくれる。虎丸の瞳に、確かな闘志が宿った。
「虎丸。ここには、お前のプレーを受け止められないヤワな奴は1人もいない」
「やろうぜ、虎丸!!」
この人なら、この人たちなら。
「…いいんですか…俺、思いっきりやっちゃっても!!」
「俺を驚かせてみろ、虎丸!」
「はい!!」
そこで初めて、虎丸は彼らの前では見せなかった屈託のない笑顔を浮かべたのだった。
「皆、絶対止めるぞ!!」
ザックのスローインから試合再開。飛鷹がボールを受け取ったマジディの行く手を阻む。隙を突いてビヨンにパスを送るも、その前に風丸がカットし水城へボールを繋いだ。
「お前たちの反撃はここで終わりだ!!」
『!』
水城の前に立ち塞がったのはザック。先程してやられたこともありかなり苦手意識が強い相手だった。ロスタイムも残り僅か。延長戦に入ってはイナズマジャパンに勝ち目はない。時間切れを狙っているのか、執拗に襲いかかってくる足を
前線に、虎丸にボールを繋げなければならないのに。先程のやり取りを、無駄にするわけにはいかないのに。どうしよう、動け、考えろ、考えろ考えろ考えろ。自身を催促し焦燥させるだけの単語に脳内を埋め尽くされかけたそのとき、
「いけ!!一青!!!」
後ろから飛んできたその声に、背中を押されたような気がした。
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bizyu(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました！これからまた読み直そうと思います！ご自身のペースで更新してくださると嬉しいです(◍•ᴗ•◍) (12月28日 21時) (
レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - とても面白かっです！！続きが気になりすぎて夜しか眠れません。更新よろしくお願いします (12月15日 18時) (レス) id: 51c9a307dd (このIDを非表示/違反報告)
サカナ(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございます！思わず一気見しちゃいました笑更新楽しみにしてます！ (10月29日 22時) (レス) @page29 id: ff0b9e3173 (このIDを非表示/違反報告)
テオ - とても面白かったです！続きが気になります！！また書いてくれるのを楽しみにまっています！ (8月31日 9時) (レス) @page29 id: 715df6a9c3 (このIDを非表示/違反報告)
チョコドーナツ(プロフ) - またまた戻って来てしまいました……！イナズマイレブン熱はいつになっても冷めないようです笑何度読んでも面白くて最高です！ (8月21日 19時) (レス) id: 915577a7d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：不二市
| 作成日時：2019年1月7日 3時
