【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス VII (ページ31)

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31話ページ31

「誰にだって自分だけのステージがある。いけ!海はお前のものだと証明しろ!!」

焚き付けるのが上手いと思った。久遠は素知らぬ顔をしていたが、恐らく綱海を外に出したのも意図的なものなのだろう。海の男と聞いて対抗心を燃やし必殺技を編み出そうとしていたところまで見越していた久遠は、素性は分からないもののやはり良い指導者なのだろうと水城は思う。

『綱海君、もう始まるよー』

「まじか!!」

ヒントはフィールドにあると言われ、ポジションにつくや否や芝生に這い蹲(つくば)った綱海に声をかける水城。綱海が慌てて立ち上がった直後、後半開始のホイッスルが鳴り響いた。

「凄いぞ虎丸ーっ!!」

開始早々ジョーとリーフのワンツーパスをものともせずにボールを奪い取った虎丸。円堂がゴールから声を飛ばすと同時に豪炎寺は走りだす。

「豪炎寺さん!」

「爆熱、スト───ムッ!!」

「グレートバリアリーフ!!」

「…!」

ニースとマットを躱(かわ)した虎丸からボールを受け取った豪炎寺。綱海はそのシュートに立ちはだかる高く厚い波の壁をじっと見つめていた。

「ヒントはフィールドの中にある、か…。随分手強そうな波じゃねえか…!!」

後半も一進一退。互いに攻めきれず時間だけが過ぎていく。虎丸がダニエルを股抜きして緑川にボールを繋げた。

「グレートバリアリーフ!!」

「……見えた!」

緑川のシュートを阻んだ高波。綱海にはそれが先日の荒波と重なり、同時に必殺技のビジョンもはっきりと見えた。奪取した虎丸に真っ先にパスを要求しボールを受け取る。

「でやあああああっ!!くらえっ!!!」

助走を付けて力強く地面を踏み込みボールに乗った直後、地面からツナミブーストよりも遥かに高く荒れた津波が出現した。綱海がオーバーヘッドで蹴り込むと、そのシュートは波を割いてゴールへと突き進んでいく。

「グレートバリアリーフ!!」

波を突き破るかと思われたそのシュートは徐々に回転を止めていき、最後には水に呑み込まれジーンの手に収まってしまった。「この程度で乗りこなせると思うな」そう言って前線にボールを送るジーン。

「メガロドン!!」

ニースがヘディングでジョーへとボールを送ると、正義の鉄拳を破った巨大な鮫が再び円堂に襲いかかる。

「この技は一度見た…!」

円堂は目を閉じ、そして思い出す。2日間の特訓の動きを、感覚を。目を開き、そして足を高く上げた。