【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス VII (ページ25)

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25話ページ25

「世界一って、考えたことあるか?」

狭い部屋でのサッカーもほどほどに、3人で窓際に円になって座ると円堂がボールに手を置きながらそう尋ねる。

「フットボールフロンティアインターナショナル…。世界中から、最高の選手たちが集まる大会なんだよな…!」

世界一。口に出すのは簡単だが、そこに行くのは決して容易なことではない。近道も楽な道もなく、さまざまな強敵が障害となり栄光への道を阻むのだ。それを全て打ち砕き乗り越えた者だけが、頂点に立つことができる。

「どんな凄い奴らなのか、どんな技を持っているのか…!そして、そいつらに勝つことができたら世界一なんだ!そんなこと考えたら、もうじっとなんかしてられない!!」

いつの間にか部屋の外には数人が集まっていて、扉を僅かに開き円堂の明かされる心の内を聞いていた。

「俺さ!皆と一緒に見てみたいんだ!すっげー奴らと全力でぶつかり合って、勝ち残った者だけが辿り着ける…世界一のサッカーってやつを!!」

辛く険しい道を、これだけ真っ直ぐに見据えることのできる人間はそういない。涙も傷も痛みも全て受け入れて、彼は一歩一歩確実に進んでいく。焦らずに、諦めずに、何度転んでも、そのたびに立ち上がって。

「だから挑戦しようぜ!世界一に!!」

全ては最高の景色を、最高の仲間と共に見るために。

「フットボールフロンティアインターナショナルで、優勝するんだ!!」

「世界一に…!」

「世界一に!」

「「「世界一に!!」」」

円堂が人差し指を天に向かって突き上げると、鬼道と豪炎寺も続いて同じように天を指す。外にいたメンバーも思わず扉を開けて続くと、円堂は満面の笑みを浮かべてぐっと拳を作った。

「よしっ!優勝しようぜ!!」

「「「おおおっ!!」」」

それからは午前中の静けさが嘘のように合宿所内にはたくさんの音が響いていた。ボールが壁に当たる音、室内を走る音に、風を切る音。久遠はもう見張る必要がなくなったことを感じ取り、外からそれを聞いている。一度だけ壁か何かが壊れる音が聞こえたが、そこには目を瞑っておくことにした。

「うるさくて眠れやしねえ…」

そんな中そう苛立たしげに呟きベッドで寝返りを打つ不動。しかしその彼の部屋の壁は、いくつものボールの跡で黒くなっていた。