【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス VII (ページ15)

今日:8 hit、昨日:13 hit、合計:393,669 hit

15話ページ15

「まさか練習がこんなにハードだなんてなあ…」

「俺、もうクタクタっス…」

「おいおいお前ら、合宿は始まったばっかだぞー?」

「そりゃあそうだけどー…」

地獄の練習がようやく終わった。食堂に集まった彼らだがもはや騒ぐ気力もなく、テーブルに突っ伏している者さえいる。予想以上に、練習も久遠も厳しかった。

「…円堂君はどう思った?あの監督のこと」

基山がそう尋ねると、突っ伏していた一人であった円堂は顔を上げる。先程の練習を思い返すように宙を見て、そして口を開いた。

「どうって…そりゃあ確かにちょっと変わってると思うけど…」

そこで一度言葉を切り、立ち上がった。

「良い監督じゃないか!思ったことをはっきり言ってくれるんだし!きっと、俺たちにはまだまだ足りないところがあるんだよ!世界を目指すためにはさ!!」

「キャプテン…」

相変わらずどこまでも前向きな円堂。その姿に、久遠に少なからず不信感を抱いていたメンバーが表情を和らげる。そうだ、嫌な監督だと決めつけるのはまだ早い、と。イナズマジャパンでも、円堂がやはり精神的支柱となるようだ。

「いいぞ、不動!ナイスチャージだ」

しかしその次の日、円堂でも前向きに捉えられない声が飛ぶ。風丸に下手すれば怪我をさせてしまうほど荒々しいスライディングを仕掛けた不動を、久遠は咎めるどころか褒めたのだ。

「緑川、こっちに回せ!っておい!?」

それに加え、レギュラーを勝ち取ることに必死なのかひとりで突っ走りチームプレーを疎かにする緑川。突っ走りすぎてこれから体調を崩してしまわないか心配なところである。

『ちょ、不動く、ええええ…』

「…なんか、雰囲気悪くなってませんか?」

「大丈夫なのかしら、この調子で…」

さらに次の日。緑川と異なり故意にパスを出さない不動と、それに困惑する水城。その様子を見て戦術アドバイザーとして同行している目金と、練習を見守っていた秋が思わずそうこぼした。

「……」

それを聞いていた春奈はフィールドを見、そして久遠に顔を向け目を細める。マネージャーとしても、連日のような雰囲気ではいけないことは分かっていた。それならば、と春奈はある一つの決意を胸にする。この状況を、少しでも良くするために。