154話 ページ9
「ごめん一青、せっかく決めてくれたのに…」
『気にしないでキャプテン。今は、正義の鉄拳のことを考えよう』
「ああ…」
ベンチに座る水城の前に立ち円堂が謝る。そう気を落とさないで、と水城は微笑み、円堂が右手に持つ大介のノートに目を移した。
円堂が思い浮かべるのはガイアブレイクを完璧に弾いた正義の鉄拳。きちんと発動できた、つまり出し方は合っていた。なのに、何故グングニルには破られてしまったのか。一体何が足りないのか。
「なあに!正義の鉄拳が通用しねえならその分、俺たちが頑張りゃあいいだけだ!!だろ!?」
「そっ、そうっスよ!俺、頑張るっス!!」
じっと険しい表情でノートを見つめる円堂に影響され表情が暗くなっていた雷門イレブン。胡座をかいていた綱海がばしっと自身の右足を叩き、その暗い雰囲気を吹き飛ばそうと喝を入れた。
「でも、点を取らなければ勝てない…」
一之瀬が呟いた。それを聞いて鬼道は吹雪の方に顔を向けるもタオルを被っており表情はよく見えなかった。次にその隣に座る水城を見て尋ねる。
「一青、足の調子はどうだ」
『どうだろう…一応処置はしてもらったから随分ましになったとは思うけど…』
試してみよう、と念の為秋に手を貸してもらいながら立ち上がった水城。立ち上がるのに時間がかかったうえ小刻みに震えている。秋がいなければ倒れていた。後半最初からの復帰は望めない。良ければ後半途中からの再出場、悪ければこの試合はもう出られないだろう。
「チャンスがあれば積極的にシュートを狙っていこう。今キーパーをしているゼルがデザームより実力が劣るとすれば、俺たちにもゴールチャンスはあるはずだ。必ず点を取ろう!そして勝つんだ!!」
鬼道が立ち上がりイプシロン改を見てそう言う。確かにゴールキーパーとしてのゼルの実力はまだ目にしていない。デザームより劣っていることを願う雷門イレブンだった。
「試合を続けますか?」
「……ええ。この危機を乗り越えられれば、チームはもっと強くなる。エイリア学園を倒すため、成長してもらわなくては」
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作者名：不二市
| 作成日時：2018年4月23日 23時
