【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス IV (ページ48)

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193話ページ48

「大丈夫か!?」

「だ、大丈夫です…。ぼーっとしてすみませんでした…!」

右頬を押さえながら立ち上がる立向居。焦点が合っていないようで、駆け寄ってきた綱海が何人にも重なって見える。これはいけないと、少しでもましにしようと目をこすった。

「「「デスゾーン!!」」」

何度目かのデスゾーンが打ち込まれる。目は回復しておらずボールがいくつにも見え、それでも立向居はなんとか焦点を定めようと目を細めた。

「海は凄いぞ!弱い波でも、何度も打ち寄せるうちに岩を削って、砕いちまうのさ!」

『たくさん手があったら、ボールがいくつ打ち込まれてもキャッチできて凄いよね!』

「弱い波でも何度も…たくさんの手…」

再び脳裏をよぎった言葉にどこか共通点を覚え、立向居は霞む視界の中自分の両手を見つめる。その直後ボールが頭にぶち当たった。しかしそれも気にせず、すぐに立ち上がりまた自分の両手を見つめる。焦点が合った。「ひょっとして、今のが…!」そして、閃いた。

「「「デスゾーン!!」」」

「シュタタタタタン…!ドババババーン!!」

打ち込まれたデスゾーンに対し立向居はムゲン･ザ･ハンドを繰り出そうと手を何度も突き出す。すると背後に手がいくつも出現したが、すぐに消えてしまい未完成のデスゾーンがゴールした。

「今のも駄目か…!」

「タイミングは合ってるはずなのによ…」

「どうすれば…」

手応えを感じ顔付きが良くなった立向居。その一方、円堂、鬼道、土門は完成しないうえに疲労困憊。円堂と土門は肩で息をし地面に座り込んだ。

「鬼道にボールを集めるんだ!」

ゴールから源田の声が飛ぶ。「とことん付き合うぜ」と言ったのは近くにいた寺門。こうして協力してくれている仲間のためにも完成させなければ、と鬼道は決意を再び胸にした。

「鬼道、タイミングは帝国のときと同じなんだよな?」

「ああ、全く同じだ…。…!!」

「でも、雷門にいる方がお前は自分を出せているのかもしれない」

「雷門にいる方が…。…円堂、土門!!」

円堂の何気ない問いかけがハーフタイムでの佐久間との会話を思い出させ、そして鬼道ははっとした。何故こんな当たり前のことに気付けなかったのだろう。雷門と帝国は、違うのだと。