【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス IV (ページ38)

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183話ページ38

「ええと…円堂さん…」

「うんっ」

「読めません…」

「あっ」

自分以外は読めないことを思い出した円堂。「あははっ悪い!」と頭を掻き、その図を指差して説明していく。

「これはムゲン･ザ･ハンド」

「ムゲン･ザ･ハンド…」

「じいちゃんの考えた、キーパー技の究極奥義だ!」

「っえ、いいんですか、円堂さんは…?」

いいんですか、というのは円堂が覚えなくていいのか、と、自分が覚えていいのか、の二つの意味が込められていた。「今俺が覚えないといけないのはリベロ技だ!」そう言って立向居に近付いた。

「だから、この奥義はお前に覚えてほしいんだ!」

他の誰でもなく、立向居に。その意思を自身の肩を叩いた手から、じっとこちらを見つめる目から感じた立向居は「はい、頑張ります!!」と緊張しながらも強く頷いた。

『ピー!キャプテン、それじゃハンドだよ』

「お前はもうキーパーじゃないんだぞ!」

アフロディが蹴ったボールをパンチングした円堂。すぐさま水城と鬼道から注意の声が飛んだ。ずっとキーパーをやっていたのだ。反射的に手を出してしまうのも仕方がないが、試合でそれをやったらブーイングものである。周りが大丈夫か…?と心配そうに見守っている。

『ピー!キャプテンまたハンド』

「特訓のやり方、考え直さないか…?」

「ええええっ!?せっかく考えたのにーっ!!」

気を取り直して、と豪炎寺に蹴り込まれるがまたもやパンチングした円堂。水城が足の下にボールを置きながら笛の音を口で言い再度注意する。土門が振り返り鬼道に言うと少し離れた所で円堂が絶叫した。

「大介さんのノートを読み解き必殺技をものにしてきた円堂のアイデアなんだ。俺は円堂を信じる」

「!ありがとう鬼道!正義の鉄拳は進化する!」

「究極奥義に完成なし、だったな」

「とはいえ、長年のキーパー体質はそう簡単には変えられない、ということか」

鬼道の言葉で笑顔になった円堂だが豪炎寺の言葉に項垂れた。『頭から出す正義の鉄拳…頭…頭かあ』水城は空を見上げ考える。

『そうだ、いっそのこと手を使えないように縄で縛ろう』

「過激だな!?」

「いや、だが良い考えかもしれない。しかし縛るのはな…。縄以外で他に何か代わりになる物は…」

ぽんと手を打った水城に土門が突っ込むが鬼道は意外にも賛成した。しかし完全に動けないよう縛るとなると腕に縄の跡が付くし絵面が酷い。鬼道は腕を組んで辺りを見渡し、やがて部室が目に留まった。