182話 ページ37
「石川だったか?」
『うん。襲撃予告がされるか、エイリア学園との勝負が終わるまでは帰れないだろうなあ』
哀愁を漂わせ夜空を見上げた水城。「そうか」と言い豪炎寺は水城に歩み寄る。そのとき、水城は豪炎寺にはまだ名字で呼ばれていることを思い出した。
『私、名前で呼ばれるの好きなんだ。だから、豪炎寺君も名前で呼んでくれると嬉しいな』
「ああ、そういえば皆名前で呼んでいたな。なら俺もこれからは一青って呼ぶよ」
嬉しそうに、満足したように笑う水城。豪炎寺は水城の肩に、自分にと円堂に渡されたタオルケットの右半分を掛け、そして水城の左側に腰を下ろすと左半分を自分の肩に掛けた。
「一青が眠くなるまで付き合おう」
『…いいの?』
「親睦を深めることも含めて、いろいろ話そう。話してるうちに睡魔が来るだろう」
『…ありがとう、豪炎寺君』
1人用のタオルケット。それを2人で共有しようと豪炎寺が水城の方に寄れば僅かに肩と肩が触れ合った。ぽつぽつと話していく2人。静かに夜がふけていく。
「「じゃーん!!」」
ブルーシートからイナズマの上部分が少しはみ出している校舎前のグラウンド。秋と春奈が、円堂と立向居用の新しいユニフォームを全員に公開した。
水城と豪炎寺はあれからいろいろ話した。サッカーの話、可愛らしい妹の話、飼っているポメラニアンの話。意外にも話題は尽きず、気が付けば1時間が経っていた。豪炎寺の言ったとおり、親睦も深まったことだろう。
「雷門イレブン大変身ということで!」
「円堂君と立向居君の新しいユニフォームを用意したわ」
円堂と立向居は礼を言ってから早速ユニフォームに着替える。着替え終わり登場した2人に他のメンバーは湧き立ち感声を上げた。
「気が引き締まりますね…!」
「決まってるぜ、立向居!」
「お、俺、今まで以上にマジン･ザ･ハンドを鍛えて鉄壁の守りになります!」
「もちろんマジン･ザ･ハンドのパワーアップは大きな課題だけど、お前にはやってほしいことがある!」
身長に合わせて仕立てられた円堂と同じデザインの、背番号1のユニフォームを着て目を輝かせる。そんな立向居に円堂は裏ノートのとあるページを見せた。
「円堂さん、これは…」
「俺からお前に、この究極奥義を託す!」
「いいんですか…!?」
「ああ!」
ノートを受け取りさらに表情を晴れさせた立向居。しかし徐々に眉を八の字にしていく。
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作者名：不二市
| 作成日時：2018年4月23日 23時
