176話 ページ31
「うおおおっ!!」
『うわああナイス綱海君ー!!』
ガゼルに渡る寸前に綱海がカットしボールを外に出した。絶体絶命のピンチを救った綱海。水城がアイキューにマークされながら歓声を上げた。
「さんきゅー綱海!!」
「礼なんかいらねえよ!」
その間にゴールに戻ってきた円堂。綱海に礼を言ってから「次は決めようぜ!」と土門と一之瀬に声をかけた。
「連携技は円堂君がゴールから離れすぎる…。あまりにも危険だよ…!」
「分かっている…。しかし時間がないんだ、ときには危険を背負わなければならないときもある…!」
「…円堂君が攻撃に加われるからこその、大きな落とし穴だね…」
アフロディと鬼道が言葉を交わし、そして試合再開。青いマントをはためかせながら鬼道がドリブルで上がっていく。そして豪炎寺と円堂を呼んだ。イナズマブレイクだ。だが鬼道がボールを打ち上げた瞬間に、アイシーがそれを掻っ攫っていった。
「円堂君戻れ!早く!!」
円堂が上がることを懸念していたアフロディがすぐさまアイシーの道を阻み円堂へ声を飛ばした。円堂が全力疾走でゴールへ走る。
「思い知れ…凍てつく闇の、恐怖を!!」
しかしゴールに辿り着く前に、ガゼルにボールが渡されノーザンインパクトを蹴り込まれる。思わずシュートの正面に立ち正義の鉄拳を繰り出そうと足を上げ構えた円堂だったがそこはペナルティエリア外。触るとハンドになってしまうと鬼道が声を飛ばした。
「っ…!!だああああああっ!!」
白い尾を引き向かってくるシュート。止めようと思ってもここで触ればハンド。しかしゴールまで戻る時間もない。円堂は、咄嗟に頭でボールを受け止めた。
『……手?』
「何!?」
「馬鹿な…」
円堂の頭からゴッドハンドのような輝く拳が出現しガゼルのノーザンインパクトを弾く。周りも、弾いた本人も目を丸くした。ボールがとすっと芝生に落ちた直後ホイッスルが鳴る。2-2の同点のまま、引き分けで試合は終了した。
「そこまでだよ、ガゼル」
「ヒロト…!」
シュートを止められたことで立ち尽くすガゼルに、今まで観客席にいたグランがやってきてそう言った。ヒロトがグランという宇宙人なのだと判明した後も彼をヒロトと呼ぶ円堂。まだ、信じていたいのかもしれない。
「みせてもらったよ円堂君。短い間に、よくここまで強くなったね」
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作者名：不二市
| 作成日時：2018年4月23日 23時
