【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス III (ページ30)

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127話ページ30

「監督さんよお、なんの練習にもならねえってのはちょっと言いすぎだぜ」

水城と小声の会話が終了したと同時に、綱海は瞳子に言葉を投げかけながら前へ出た。

「こう見えて俺たち大海原中は沖縄じゃピカイチ!フットボールフロ……なんとかにも出るはずだったんだぜ」

フットボールフロンティアと教えていた方が良かったかもしれないと少し思った水城だった。「フットボールフロンティアに!?」と驚く一之瀬に「ちょっと事情があって結局出られなかったけどな」と返した綱海。

「地区予選の決勝をやってるときに村祭りがあってよ…」

空を仰ぎ回想にふける綱海。何か事故でもあったのだろうかと表情を曇らせる雷門イレブンだったが、理由はひどく滑稽なものだった。ノリに乗って踊りまくっていた監督が試合のことをすっかり忘れ、気がついたときには集合時間をとっくに過ぎ不戦敗だったそうだ。

「まっそーいうこともあるわな!!」

神妙に話していた綱海だったが、ころっと調子が変わり笑い飛ばす。マネージャー陣が「ありません!」と一斉に突っ込んだ。真剣に聞こうとしていた雷門イレブンだったが理由が理由。思いっきり脱力した。

「まあそれより試合だ試合!なっ!やってくれんだろ!」

理由はあれだが、フットボールフロンティア地区予選の決勝まで進むほどの実力はあるのだ。十分ではないだろうか。円堂が瞳子を見て呼びかけると、他のメンバーもそれに続く。

「……好きにすればいいわ」

ついに折れた瞳子。ため息をついてそう言い、キャラバンに向かって歩いていった。その瞬間歓声を上げた雷門イレブン。

「そんじゃあ行くか!皆待ってるからよ!!」

綱海がそう言うと全員が大きく頷く。イナズマキャラバンは大海原中学校を目指し走りだした。そしてまたそれを崖上の木の影から見送る、フードを目深に被った少年。