【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス III (ページ14)

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111話ページ14

「じゃあ俺のはとりあえず着信拒否しといてくれ。見つかったらまた鯨間さんか誰かので連絡するから」

『分かった。あ、これから誰の携帯で連絡取るのか決めておいてくれたら嬉しいな』

「あー、じゃあ次かかってきた奴のだって覚えといてくれ」

『うん。いやあ紅二君じゃなくてよかった』

「俺がそんなの送るわけないだろ。もしまた何かあったら言えよ」

『ありがとう。じゃあ、またね』

通話終了。やはりあの大量のメールと着信は船江が寄越したものではなかった。鯨間にかけ直したところ3コール目で出て、船江の携帯が失くなったと伝えられたのだ。メールや着信があったと伝えれば、船江の携帯が誰かに盗られた説が浮上した。

悪意あるメールの内容も伝えると冒頭のように着信拒否にしろと言われる。水城のモチベーションを崩したくないという船江の思いやりだった。

『……』

携帯を閉じて砂浜に仰向きに寝転がり目を閉じると漣(さざなみ)の音が鮮明に聞こえる。あのメールを見てから今まで不安でやきもきしていた水城。犯人は分からない(なんとなく察しは付いている)ものの確認ができてひとまず安心した。

「何してんだ?」

『……あ、綱海君…と?』

「さっき釣った!」

『釣ったんだ…』

しばらくそうしていると漣(さざなみ)の音にさくさくと砂を踏む音が混じる。知らない人だろうと気にせずそのままでいた水城だったが、聞き覚えのある声に話しかけられ目を開けると、そこには練習が終わってから別れた綱海と、綱海に背負われた大きな魚がいた。

「ちょうど良かった!お前らの泊まる所に案内してくれねーか!」

『いいよー。どうしたの?何か用事?』

「これ!食わしてやろうと思ってな!」

『わあ、その魚食べられるんだ!』

「あったりめーだろ!そのために釣ってきたんだ!」

『楽しみだなあ!ありがとう綱海君!』

「おうよ!!」

水城を見ると表情を晴れさせ言う綱海。食わせてやろうと釣った魚だったが、肝心の彼らがどこにいるのかが分からず困っていたようだ。快く承諾して立ち上がった水城の頭をわしゃわしゃと撫で回した。

『…綱海君3年生だったの?先輩だ』

「んなこと気にすんな!気楽にいこうぜ!」

『はーい』

砂浜に2人分の足跡と地面に着いてしまっている魚の尻尾の線が残る。世間話をしながら到着した場所は石垣に囲われた木造の民宿。扉の前に立つと、ババ抜きでもしていたのだろう、中から「ババ───っ!!」と立向居の叫びが聞こえた。